第3話 【百合エッチ】ラブホは来てからが本当の勝負
男女平等と言われる時代だがラブホテルは関係ない。性が絡むとなにかと女性の方がお得になる。私と藤田が向かった歌舞伎町のラブホテルは男性同士の利用は禁止。女性同士の利用は半額。なんで男同士はダメなんだろう。男同士でのSEXはシーツが汚れやすいからなのかな。まぁ私は女だから特に声高に反対するつもりはないけど。結局人は自分ごとにならなきゃ差別と戦おうと思わないのだ。
シャワーを浴び終わった私はホテルのバスローブを羽織って、テレビに映っているルームサービス一覧をぼんやりと見ていた。あ、平日はプリンが無料なんだ。良いな。
いや待て。今はそんなこと考えている暇はない。藤田とラブホテルに。違う違う。さっき何で藤田はイイダさんの名前を。それも私に。あー藤田とラブホテルに。ダメ違う。イイダさんが動いた?また女の子育ててるの?藤田とラブホテルにいる。てか藤田がなんで私にイイダさんの名前を突然……
藤田とラブホテルにいる。
藤田はシャワーを浴びている。
裸でシャワーを浴びている。
どうしよう。どうしよう。イイダさんのことなんて考えられない。勢いで来ちゃったけど、ラブホだよここ。
するんだよね?
え、藤田、藤田もそっちだったの!?いや私もそっちだけど、女の子とするの初めて。
私の気持ち気づいていたのか。でも、そんな素振りや言動を藤田に見せたことはない。どうして。
カチャとシャワーの戸が空く音がした。藤田が出てくる。
身体をタオルに巻いて出てきた。風俗嬢やパパ活をして自分を商品として売っているだけある。いやそんなことしなくても藤田の身体はすごく綺麗だ。高校生の時の体育の更衣室で100万回はそう思った。
痩せているけどボンキュボン。それでもボンの部分は主張が激しくない。藤田の体型にぴったりの大きさと形をしている。
藤田の首についていた水滴が胸元に落ちる。タオルの色がじんわり濃くなる。ダメだ胸がどきどきして痛い。下のお腹がきゅんきゅんする。もし私が男だったら勃っているんだろう。男じゃなくて良かった。
藤田が私の隣に座った。ベットがギシッと音を立てた。
「歯はもう磨いたの?」と藤田が言った。
歯磨いた?それはチュウをするから聞いたの?やばい胸のドキドキが。バレてないよね私の胸の音。
「うん、うん磨いたけど」
「そっか!じゃあもう寝よっか。私朝一で家に帰って空港行きなきゃだし」
「あえ、寝る?寝る?」私は思わず格好悪い返事をしてしまった。
「今日も仕事して疲れたし。冬梅どうしたの?AVでも見たい?」
「いや全然、全然。」
こんなことってある?ここラブホだよ。
「どうして今日ラブホに泊まったの?」私は藤田に聞いた。
「アメリカに行く前に誰かと添い寝したかったの。寂しいじゃん」
「そ、そう。まぁ私も誰かと寝ることなんてないから嬉しいな。」
いや別にラブホでもしないなんて全然あるもんね。今なんてラブホ女子会って言葉もあるくらいだし。藤田と添い寝できるなんて最高。最高。私は自分に言い聞かせた。
藤田はバスローブに着替えて電気を消してベッドに入った。
私は藤田に背を向けて寝た。すると後ろから藤田がぴったりくっついてきた。
「添い寝って言ったでしょ」藤田が優しい声でからかうように言った。
「私はこの方向じゃなきゃ寝れないの!別に向き合わなくても添い寝は成立するし!」
あぁ私ダサい。素直に藤田の方向けば良かった。藤田は明日からアメリカに行って風俗出稼ぎに行ってしまうのに。次が会えるか保証なんて出来ないのに。
「そう、確かに。冬梅の言う通りだね。」
しまった。だからこうなる。
私はいつも、
そして藤田と添い寝を開始してから1時間は経った。首にすーすー藤田の温かい吐息がかかる。藤田の胸が私の背中に当たる。藤田の手が私のお腹に当たっている。寝れない。寝れない。
このまま朝を迎えて、藤田と解散して終わってしまう。そして藤田はアメリカに行ってしまう。次に藤田と会えるのはいつだろう。2度と会えないかもしれない。今回みたいに3年藤田からの連絡を待たなければいけない。ラブホテルまで来てなんの進展も無しに終わってしまう。
やばい、それでも眠気は襲ってくる。このまま添い寝して終わる。
【やらない後悔よりも、やる後悔だよフユウメ。よし4時にすすきの で落ち合うぞ。生きて帰ってこい。】
ーイイダさんの声。夢だ。うわ!一瞬寝てしまった。後ろから吐息が聞こえる。まだ朝日は出てない。
【やらない後悔よりも、やる後悔】
この言葉。皆が自分の名言みたいに使うよな。最初に言った人はどんな人なんだろう。でも、この言葉を自分の名言、座右の銘にしたい気持ちはすごく分かる。
やらない後悔よりもやる後悔ー
「藤田起きてる?」
「….うん」
すぐに返事が来た。藤田も起きてた。あの寝息は嘘だったのか。
いけ私言え!言うんだ!
「…エッチがしたいです」
あぁいざ口に出すと、なんて馬鹿げているんだろう。藤田のところへ来る客もこんな感じなのかな。もはや振り切って偉そうにする方が楽なのかもしれない。
「…..あはははははは!!!」
藤田は声をあげて5分近く笑った。私は顔が暑くてもはや痛かった。藤田の笑いが止まり、来た時は気にならなかったホテルのBGMの音色がはっきり聞こえた。BGMがあって良かったと心の底から思った。
無かったことにしよう。今なら取り消せるかな。
「ごめん藤田。今のは忘ー」
藤田は私の首にそっとキスをした。そして私の胸を軽く優しく揉んだ。
「いいよ冬梅こっち向いて。キスからでいい?」
【やらない後悔よりもやる後悔】私の生涯の座右の銘が今ここに決まった。
「うん」
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