生存率低下

@2nama4

序章 

プロローグ

振り抜かれた黒い刃は僕の頬を掠り壁を穿つ


打ち抜いた掌に手応えは無く、瞬きと共に【彼】は手の届かぬ場より僕を見据える


その眼に希望は無く、在るのは深く暗い深淵のみ


【彼】が何かを唱えると僕の脚を激しい痛みが襲う


地より放たれた刺槍が僕の脚を落とす


脚に力を込めると頭痛と吐き気と共に脚が再生した


生き残る可能性は有るのか、僕(私)(我)に希望は有るか


戦いとは不条理にして理不尽、ルールも、ましてや情なと存在しない


首を落とし、心臓を抉り、その生きる血肉臓腑を全て否定して初めて「勝利」を手にする


「死にたくない」は許されず、「馴れ合い」も存在しない


「僕」は絶望の淵にて戦う術を手にするだろう


「私」は人が敗れる様を見て勝利する技を宿すだろう


「我」は全てを失って初めて真の殺意を犯すだろう


全て恥辱、苦痛に塗れ、それでも這い上がらんとする


そんな者達だからこその力である


渾身を込め、「救う」「勝つ」「殺す」信念を宿し打つ拳は


きっと


きっと





何よりも尊くて




何よりも美しくて




何よりも強い



そんな貴方の「味方」となるはずだ


さあ、唱えよう


聞かせて欲しい、貴方の絶望を


見せてくれ


魅せてくれ


味せてくれ


全てを


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