第16話 ヒカリを襲う…?
今朝のヒカリは呆けた顔で登校していた。
昨夜のマリーの一言の意味を考えていたからだ。
「ヒカリとならもう少し進んでも良いよ」
もう少し進んでも…?
キスのその先ってなんだ?
いったい何処まで許されるのだろ?
マリーの言葉が波紋のように僕の心に広がる。
幸せなのに悩むというジレンマを抱えながら自分のクラスに着き席に付く。
キスはした、その次のステップは?
これ難易度上がってないか?
でも良いよって言うならストップかかるまでいいのかな?
嫌われたりしないよなあ、それが1番困る。
そんな事を考えているとあっという間に昼になる。
何時ものようにの生徒会室へ向かうに後ろから
「東野君っ!」と呼び止められる。
振り向くと僕の知らない可愛い感じの女の子が立っていた。(松井明里である)
「東野君ちょっといいかな?」
「へっ?僕に用ですか?」
「はい、貴方のことがずっと気になっていて…」
「……?、もしかして階段で躓いたコ?」
「へっ、覚えててくれたんですか?」
「僕は人との関わりが少ないので…」
「そうなんですか、それで仲良くなりたいと…」
「それはどうかな?僕はお付き合いしてる人がいるんだよね」
「えっ、でも何時も1人で…?」
「ああ、学校じゃそうだね、彼女は他校生徒なんだよ」
「そ、そうなんですね。でも友達なら」
「僕はなるべく友達は作らないんだ、ごめん」
「生徒会長とは仲がいいですよね?」
「それはお弁当を食べる場所を提供してもらるんですよ」
「……。」
「それじゃ」
去ってゆく後姿を肩を震わせ見送るアカリ
「絶対…諦めないから…」
生徒会室に入り何時もの席に付きながらため息を
つく「ふうう〜」
ため息に気付いた詩織が話し掛ける
「遅かったね、何かあったの?」
「まあちょっと…大した事じゃないです」
「そっか、ところで悩みは解決したの?」
「ああ、バッチリですよ。沢山しました」
「た、たくさん…」
何故か聞いた本人がドギマギしながら
「やっぱり…その…ディープなのとかも?」
ヒカリはその問いにハッとした。
そうだ、キスすることに気を取られキスに種類が
あることを忘れていた…。
「ディープなのはまだです…ね」
「そ、そうなんだ、で、キスしてどんな感じ?」
「ん〜、幸せを感じましたね」
「そうなんだ……、ねえ、この前私に言ったこと覚えてる?」
「え、何か言いましたっけ?」
「ひどい!何でも言うことを聞いてくれるって言ったのよ!」
ヒカリはうっかり放った一言を思い出した。
「はいはい、確かに言いましたね、それで?」
詩織は蚊の泣くような小さな声で
「ちょっと私に…キス…してみてよ」
「…?何ですか?」
「だから私にキスしてみてって言ったの!」
「いやいやそれはダメでしょ、浮気になっちゃう」
「じゃあさ、これ越しならくっつかないからセーフじゃない?」
そう言って彼女のオニギリを包んでいたラップを
ヒカリの目の前にかざす。
「それはセーフなのかなあ?でも何で…?」
「正直に言うわ、実はキスしたことがないのよ。
だから高校生の内にどんな感じか知りたくて」
「いいのかなあ?」
「私が、してって言ってるの。何でも聞いてくれるんでしょ」
「絶対秘密に出来ますか?」
「大丈夫よ!」
詩織は急いでラップをウエットテッシュで吹いて
顔の前に用意した。
「いいわっ、お願いします」
「それじゃ行きます」
ヒカリはそろそろと顔を近付ける。
ヒカリの吐息がラップにかかる…今まさにクチビルがラップに付く瞬間、身構えて力の入った詩織は
ラップを引き裂いてしまった…。
「ぷちゅ!?」
……?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます