第21話 サンテクジュペリ

叔母はどうして幼稚園児の僕にサンテクジュペリの絵本を渡してくれたんだろう。

大阪に1人で住んでいる叔母は鍼灸師で実家の真向かいに1人で住んでいた。そこは叔母の職場で表には鍼灸師の看板が掲げられていた。甥っ子である僕や妹をよく可愛がってくれた。叔母は

近眼がひどくてほとんど 弱視 だった。僕が知る限り 叔母はいつも牛乳瓶の底のような分厚いメガネをしていて正直 子供だった僕には少し怖い人のようにも見えた。しかし叔母は物心がついた僕たちにいつもお土産を買ってきてくれた。友人とどこかへ出かける度に必ず何か お土産を買って来てくれていた。

叔母は生涯独身だった。小浜市 休止になるために そうした学校には行っていたんだろうが 友人はいても結婚するような相手にはついに巡り合わなかった。叔母がなくなる 1〜2年前に電話がかかっていたことがあった。叔母は 心細かったらしく老後の心配をしていた。大阪に住んでいた兄弟は兄が6人ぐらい近くに住んでいたので 僕はそのことを言った。そんなにたくさんの兄弟が近くにいるんだから心配ないよと言った。その時 高校生だった僕はきっとかなりぶっきらぼうな言い方で言ったんだろう。亡くなってしまってからなんだけど色々してもらいながら 叔母には本当にすまないことをしたと今でも思っている。叔母が僕に色々くれた物の中でサンテグジュペリの絵本は特によく覚えている。僕はその絵本を何度か読んだけどよくわからなかった叔母が何のつもりでこの本を 僕に送ったのか その意味も全くわからなかった。今一度その絵本を読んでみようかと思う。

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