焼肉屋にて
よくタン塩を最初に頼めとかキムチを頼めとか米は食うな、なんて口を出す連中がいるけどそんなこと言うなら
なんて
ハジメさんもどちらかといえば肉体労働をしているので脂質を
その焼肉屋はハジメさんがアクション俳優として
「オヤジさんの苗字が”
「んにゃ、名前の由来は当時奥さんに夢の国のシンデレラ城でガラスの靴プロポーズプランでこの焼肉屋に永久就職させたのが由来らしいぞ。」
「………」
想像以上の理由だった。ガラスの靴とかがニンニク臭くなりそうな。
ハジメさんの周りの方々はこういう夢を追う男が多いのだろうか?
オシャレなんだけど…えぇ…
「
「失礼します。こちらカルビ、ハラミ、ソーセージ、玉ねぎです。ハジメさんいつもありがとうございます。」
シープドッグの店員が器用にも腕に皿を3枚乗っけて入ってくる。
前髪をヘアバンドでかきあげてお目にかかれない顔があらわになっていた。
「あ、どうもね。スナオ君もオヤジさん手伝い始めたんだ。偉いじゃん。」
「中学三年生なので本当はまだダメなんですけど、学校にも上手くごまかせますので。」
スナオ君、と呼ばれた子はここのオヤジさんの
普段は髪に隠れて見えないであろうつぶらな瞳で俺の方を見てくる。
「あの、レントさんって…読モやられてるんですよね?」
「え?何?見てくれた?」
「はい!あの、この前見てそれからすっごいファンなんですけど、後でサインとかって…」
「全然いいけど、サインなんて書いたことないよ?ホント、ペンで書くだけになるけど…」
「いいんですか!いや、もうほんと嬉しいです。ありがとうございます…」
嬉しそうにしっぽをパタパタ振りながら
「…俺も一応俳優なんだけど1回もサインとか求められたことねえな…そういえば…今はニチアサの吸血怪人ヒルヒールなのに。」
そういえば、色んなとこ一緒に行くけどサインとか求められてるの見たことないな。
「今日採石場で爆死したんですよね?もう
「うるせぇ、このモテスカシコリーが!復活とかするかもしんねぇだろ!」
恨みとばかりにオレの取り皿にまで箸を伸ばしてやや冷めかけの豚トロを奪い取る。
「何するんすか、俺のコラーゲンに!」
「十分肌ツヤいいだろうが!いいだろ別に、食べ放題だし!俺が払うから
「食べ放題ならテメェで頼んでくださいよ!」
ぎゃいのぎゃいのと騒ぎながら食べても、今日は金曜。
週末前夜祭を楽しむ客で
キラキラした業界の食事にはいい焼肉ってのがありがちだけど、やっぱりオレはこっちの方が気楽でいい。
ひとしきり食べ終わるとオヤジさんがサービスと言ってバニラアイスを持ってきてくれた。ついでに色紙も3枚。
1枚はオレからスナオ君へ、2枚目は店に飾る用。
あと1枚は、ハジメさんのを店に飾りたいと言って。
「今更思い出したようにかい!」
なんて毒づいてたけど、ノリノリで書いていた。
イヤにデザイン性のあるサインを。
………練習してたんだろうか…?触れないでおこう。
____
「それでなぁ!今まで
「指切ったのは
「皿の破片を拾おうとして指切ったのは自業自得だってんだよ!」
閉店後の店内ではオヤジさんとの
「すいません…父が。」
申し訳なさそうに冷麺を
大人って…
「お互い苦労するねえ。」
「あの…レントさんって絶対モテますよね…?恋愛経験とかすごくありそうで…」
モテる。まぁ、街で逆ナンとかされたりするしDMもひっきりなしだけど正直に言っていいのか?
否定はせず
「まぁ…他のモデルの人たちほどじゃないけど人並みにね…?」
「男にモテる男って…なれる方法とかあるんでしょうか?」
思ったよりも変化球の質問が来た。一応女性向けのモデルなんだけどな、オレ。
男にモテる男…ねえ…
「それは、あれかい?シブくなりたいとかそうゆうこと?」
「えっと、僕…髪も長いし、それは種の特徴だから仕方ないんですけど、それでみんなにいっつも“姫”とか呼ばれてて、中高一貫の男子学校だから
その学校で
「うーん…まあこれはひとつの意見であってなんの確証もないことだけどね?」
「はい!」
「バニラアイス食った後に
2人で向かいのテーブルのオス二人を見やる。
「あぁ…」
参考になったかは分からない。
男にモテる男になる方法、それを聞くのはオレじゃなくて、多分ハジメさんなんだろうな。
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