第24話 天界
あれから数日たった今でもティアへの変な気持ちは収まっていない。
ただ、夢特有の不安定な気持ちが収まっただけだ。
今でも尚ティアに対して平常心を維持することは出来ない。そのことがただただ悔しいと同時にティアに対して気まずい。
ティアのことだ。もし俺がお前への気持ちが抑えられねえなんて言ったらティアは笑って答えてくれるだろう。だが、ティアは女神、俺とは存在する次元が違うのだ。
そういう面ではティアにも迷惑をかけてしまうかもしれない。
だがら、ティアにこの事は言わないほうがいい。
……と思ったのだが……
「雅夫さんやっぱり私への好意が残っているよね」
そうだ、ばれるんだった。ちくしょう! ティアの女神パワーめ。
「だったらもう仕方がないよね」
「……」
「付き合おうか」
そう、ティアが笑顔で言う。
「いや、だめだ。俺は……人間だ。だが、お前は女神だ」
「それがどうしたの?」
「つまり許されざる恋という訳だ。だから、俺は忘れようと思う」
俺たちは立場が違うのだ。
「……何言ってるの? 私は雅夫さんのこと好きだよ?」
「それは友達としてだろ?」
「そうだけど、てことは、カップルとしても好きになれるよ。だってほら、一緒に寝てるじゃん」
「確かに理屈は通ってはいるが……」
「だからさ、付き合ってみようよ」
「だが、俺はお前のことをあまり良くは知らない。だからさ、教えてほしい」
立場が逆な気がする。本来は
俺はティアの過去を断片的にしか知らない。ティア達女神世界の仕組みも何もかも、
お俺が先に好意を持って何だという話だが、それでも女神のことは知らなければならないと思う。
「言いにくいのなら別にいい。だけど、教えられるのなら、是非! 教えてほしい」
「……分かった。じゃあ、教える」
「……ありがとう」
「じゃあ、言うね」
そしてティアは口を開いた。
「
つまり私が最強の善行詰んだ魂なの!!!」
「調子に乗るな」
ティアの頭を叩く。普通にむかつく。
「痛い……酷いよ、雅夫さん」
「すまん」
「素直じゃん、雅夫さん」
そうにやっとされる。また調子乗るのかよ。
「いいから続き話してくれ」
「えー」
「頼む!」
俺はそう言って手を合わせた。ティアの過去はどうしても気になる。これは単なる必要事項だとかそう言うものではない気がする。そう、ただの好奇心。それだけだ。
「分かった。じゃあ、話すね。私は善行な魂なんだけど!!……」
相変わらず強調してきやがった。
「私がなんで善行な魂だったかって言うとね、私は前世で沢山の人を災害から救って死んだかららしい」
「らしい?」
「うん。だって記憶がないから、分からない。まあそれは置いといて、それで天界で最初に出会ったのが彼女、ルティスだったの」
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