水の町ブルネラ

 マッシュたちが降り立った森の北方には、大きな山々が連なっていた。


 山々から流れる豊富な水脈は、麓の森を通って広大な南方の土地を満たしている。


 土壌は肥え、水は美しい。素晴らしく恵まれた土地だ。


 そしてその恩恵を受けた土地に、エルセトラの人間が住むブルネラと呼ばれる町があった。

 

 彼らは、町の北を農耕地として開拓し、豊富な農作物を計画的に育てていた。また町の南の広大な牧草地では、数多くの家畜を飼い、乳や卵などの日々の食糧を得ていた。


 ブルネラの町の中心には、北方の山々から注ぐ恵みの水をシンボルとした大きな噴水広場があり、町の人々の大切な憩いの場となっていた。


 その広場を丸く囲むようにして、いくつもの店が並ぶ。軒並ぶ店をさらに大きく取り囲むように、人々は木や花を植え、水路を作り、さらに外層ににぎやかに家を建てた。


 この町は上空から見ると美しい渦を持つ円形の町であった。


 ただこの小さな町の人々は、外部との交流を嫌い、農耕と放牧の目的の他にはほとんど町の外へ出ずに暮らしていた。東には町の入口を示す門があったが、他と交流を取らない彼らにはただの出入口でしかない。むしろ北の農耕地や南の放牧地へ通じる、門なき路への出入りこそ、日常に支えられた出入口のようであった。 


 外部との交流がなくとも、町の機能は十分すぎるほどに足りていた。


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