制服か?コートか?
リザードは冬物のジャケットやコートを1年間持っていなかった。おかん星人がケチって購入してあげなかったわけではない。必要がなかったからだ。
昨年の冬はフリースだけで事なきを終えてしまった。
今の時代でも、半袖短パンの元気な小学生は存在するが、ヒトカゲ(小学生)時代のリザードはそのような晴れ晴れしい元気な小学生とはかけ離れていた。よって、昨年の冬にフリースだけで乗り越えたというのは、大きな要因なくしては説明がつかない。
その要因とは、制服である。
入学時に仕立てた制服は毛100%の非常に暖かい作りであり、リザードのコート代わりとして大いに活躍してくれている。
母子ともども今年も制服をコートにして寒さを通り越しても良いと考えていたのだが、リザードが学校のスキー合宿に参加する運びとなり、さすがに雪の中でコートなしという訳にもいかないと懸念を抱いたおかん星人が、仕事帰りにリザードを呼び出してコートを買いに行く運びとなった。
あたたかそうでお手頃なセール品とはいえ、しっかりとしたブランドもののコートを物色しつつも若干苦戦を強いられたリザードとおかん星人。成長期まっただ中のリザードにどのサイズのコートを選べば良いのかが分からなかったのである。コントを繰り広げながら試行錯誤をしている母子を見かねたのか、男性店員があゆみ寄ってきてくれたので、サイズの相談をしたところ、若干小柄な男性店員がリザードを見上げながら、
「高校生?」
「…中学生です。」
「最近の男の子は大きいから、ね。」
少し申し訳ない空気が流れた店内。しかし、男性店員はさすがはプロである。的確なアドバイスを我々に授けてくれた。お陰様で満足のいく良い買い物ができたのであった。
その後リザードはスキー合宿におニューのコートを着て行ったが、学校にはやはり制服をコートに代わりして登校している。
大丈夫、大きめのサイズのものを購入したのであと30年以上は活躍してくれるはずだ。
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