episode12 正体〜伏線〜

彼女とすれ違った日以来何も無かった。

最近は笹浪さんとも連絡をとっていない


笹浪さんのもうひとつの宿題を忘れていた

頭が抜けていたのだ


その事を忘れて日常を送っていた。

この恋は何も無かったかのように…


私は普通に書類を探していた

違う部署からのお届け物だったり同じ部署のお願いされていたものたくさんある


「すいません!汲田さん、これお願いしたいのですが…」

近藤くんだった


『近藤くん!いいよ、了解した!』


「ありがとうございます!」


近藤くんは元気に去っていく


私の心はまだ元気じゃないけど。


近藤くんはいつも元気でいいなぁ。2歳しか歳変わらないのに、いつもハキハキしている。

そんな彼に少し羨ましさを感じていた。


闇を持っていなさそうな雰囲気

年下だけどしっかりしていそうな性格

なんせ身長高くてカッコイイんだよな


けど恋愛対象じゃないんだよな…

みんなかっこいいって、彼氏にしたいって

キャーキャー言うけど大したことないんだよな


それだったら彼女に好かれたかった


確かに顔はカッコイイけどタイプでは無い

付き合いたいとも思えない

彼氏にしたいなんて思ったことがない


私はみんなとずれているから

その中で彼女に本気の恋をした


今まで男性が恋愛対象だったけど全て遊びか

周りに合わせるためのカモフラージュで恋愛をしていた


今回の恋愛は生きる理由になって

生きる希望になって

命をかけてを彼女を幸せにしたい、って思えた恋愛だった


初めて本気で好きになって

必死になって恋をした

その相手が『女の子』だった


女の子相手に私は生まれて初めて本気の命をかけた恋をしたから


改めて言うけどこの恋は偽りじゃない


今はぼんやり生きている


彼女とはあの日以来から話しなくなったし目も合わせなくなったし何せよ気まずくなって避けられてしまってる

私も避けてしまっているのだ


告白して迷惑と言われ、気持ち悪いと言われてしまったのだから仕方の無い結末だ


『近藤くん、この書類終わったよ』

「ありがとうございます!!助かりました。」

『良いんだよ、また困ったことがあったら協力するよ』

「ありがとうございます!」


私はある所に目が止まった


近藤くんの胸ポケットのはみ出ている名刺

見覚えあるロゴ

『(あれ、これって…)』


そう、Xの笹浪さんのアカウントのロゴなのだ


『(近藤くんも恋愛のアドバイス求めてるのかな)』

『(近藤くんも好きな人いるのかな)』


そればかり考えていた

近藤くんも好きな人いるんだ、モテるから当然だよね


笹浪さん、Xのフォロワー1万以上ぐらいいるのだから誰にも頼られて当たり前か


笹浪さん、すごいな


でも近藤くん、笹浪さんに会ったことでもあるのだろうか?なぜ名刺らしいものを持っているのだろうか?私は貰ったことがないのだ


「汲田さん?」

「汲田さん!」


『!…ごめんボーッとしてた』

「大丈夫ですか?ぼーっとしてましたよ?」

『だよね…うっかりしてたごめん…』

「汲田さん、あまり無理しないでくださいね」

『ありがとう。』


しまった、名刺見ててぼーっとしてしまってた


何やってんだよ私バカじゃないの


笹浪さんの名刺だよね?なんて言えなかった。

こんなところじゃ言えないよ…


ため息つきながら私は近藤くんから貰った書類を漁る


その時だった


『!!!!』


なんと近藤くんの書類からあの笹浪さんの名刺と

一通の手紙だった


【お久しぶりです。

ずっと、元気に過ごしていたでしょうか?

貴方は失恋からかなり立ち直れていたと思います。

最初の頃よりかなり、元気になられた様に思います。

貴方の笑顔が増えてきて、相手にも未練があまりないように感じています。

そんな貴方に最後の失恋から立ち直る方法を教えます。4個目と5個目の方法をお伝えしますので、


直接お会いしてお伝えします。



日時と場所は私の方で改めて指定しますので、その時必ず来てください。】


直接会う______?


ついに笹浪さんと直接会う時が来てしまったのか


笹浪さんは架空の存在だと思っていた

けどあの足音以来から笹浪さんは実在しているのだと感じていた


まさか笹浪さんが私の職場にいるなんてありえないのだ、てかいたら大変だ


誰なのか


近藤くんなのかな?

でもそんなにすぐに正体分かる??


そんなそんな近藤くんが笹浪さんだなんて何を考えているんだ私は


近藤くんが笹浪さんだったらとんでもない話だ


多分彼も私と同じ様な状況で笹浪さんに会って支えてもらっているのだろう

私も同じだから


あれから3日間何も無かった

また直接会う最後の失恋を乗り越える方法のことを忘れていた


私は今日、研修で文化ホールにいる




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