第9話 社怪人(後) フリーな人生 小説回帰
そうなんです、長年お世話になったサラリーマン”びーる男”さん、2010年チョイ前にオールフリーとなり、新たな世界(仕事場)へと飛び立とうとしていました。
相談された短ZAC爺さん、ちと心配になり、「ほんま大丈夫ねぇ~?」と聞いてしまったのを覚えています。時代が変わりつつあるとはいえ、まだまだ年齢を重ねた労働者にとっての求人は少なく選択種が殆ど無かったころです。
齢(よわい)50歳を過ぎ、大変な仕事をこなした後もワイワイ酒飲みながら語り明かした時代は終わり、パソコンやデータ整理になかなか慣れきれない先輩たちは肩をたたかれて情けないほど人員整理が進んだ頃、近しい先輩もレールからずり落ち心に病を抱えてしまい休職されたのです。子供たちも成長しそろそろ独り立ちしつつあったので、一念発起「滅私奉公は、もうよかやろ~」と長年勤めてた会社を自主都合により退職したのでした。もちろん心優しき大蔵大臣(奥様)の了解のもとです
それからは七転八倒、次の働き口を現実的に考えていなかったことからハローワーク求人を検索したり、就職支援の窓口や中途採用のための補助金支援制度などの情報を隈なく調べ、職業訓練校で大工さんのお勉強したり、パソコン講座に通い表計算とかワープロの3級資格試験を取得したりしながら、家具製作会社や市営住宅管理会社、舗装工事会社など5か所ほど転職をして歳を重ね、気づいたら還暦を過ぎてしまっていたのでした。(笑)
そのころ、古書店でふと手に取ってしまったのが、京極夏彦お兄様の「巷説百物語」だったのです。文庫本から単行本にシフトしてたのですが、懐具合の兼ね合いからとうてい新刊本などに手が伸ばせる余裕はなく、若かりし頃は見向きもしなかった古書店通いへと移っていたのです。
巷説物語五巻のシリーズの合間に、「姑獲鳥の夏」はもちろん、「嗤う伊右衛門」、「覗き小平次」、「百鬼シリーズ」など、古書店にあるものは立て続けに購入していたのです。その流れからの宮部みゆきお嬢様を認知し、「ぼんくら」や「百物語」シリーズ、そして夢枕獏おじさんの「安倍晴明」シリーズ、しいては荒俣宏爺さんの「帝都幻談」へと行ってしまったのです。
それも、京極さんを知ったとほとんど同時に角川書店発行「怪」なる”世界妖怪協会”公認のB5版の少し集めの雑誌にたどり着き、妖(あやかし)や怪談、妖怪や付喪神、鬼や鬼神などとともに、大御所の水木しげる精霊とお会いしたのです。当時はまだまだお元気で百歳までは大丈夫、と感じていたので急逝されたときは本当に残念でした。存命中に”水木しげるロード”の鬼太郎くんのとこで二人並んで記念写真を撮りたかったです。
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