怒るってことはそういうこと
「マジでいらつく」
「どうしたの?」
「部活でさ、この前の大会の結果を踏まえて練習しようって呼びかけたんだけどさ。誰も参加してくれないんだよ。なんで協力してくれないのかな。ムカつく。もう部活やめようかな」
「辞めてどうするの?」
「辞めて終わりだよ」
「そっか」
「姉貴は学生時代そういうことなかったの?部活で腹立つこととか」
「あったよ」
「でも3年間続けてただろ?」
「うん」
「ムカつく時どうしてた?」
「う〜ん、1人の時に泣いたり叫んだりしてたかな」
「そんなことしても怒りがおさまんねぇんだよ」
「部活辞めない方がいいと思うよ」
「なんだよ突然」
「この歳になって思うことだけどさ、怒ることができるって、それだけ真剣だってことでしょ?」
「うん…」
「さっきも言った通り、私も昔はよく怒ってた。でもさ、大人になって、仕事でムカつくことがあっても怒れなくなっちゃったんだよ。仕事でもさ、あんたの部活と同じでチームで進めなきゃいけないのにさ。どうしても手伝ってくれない人とかいるのよ。そういう状況は大人になっても遭遇する。でも怒ると疲れるし、大人にもなってみっともないし、仕事だったら他にも選択肢は腐るほどあると思うとさ、真剣になれなくて、怒ることすらできなくなっちゃったんだ」
「…」
「あんたの場合、他に真剣になれることはあるかもしれないけど、今やってる競技を今から変えるのは難しいでしょ?かけがえのない青春時代でもあるわけだから。要はさ、怒るってことはそれだけ真剣に取り組んでいることなんだからさ、怒ってでも最後まで諦めずに真剣にやり抜いた方がいいってこと」
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