中世ヨーロッパの怖い話

第13話 死者の舞踏

　ある町に、小さな墓地がありました。墓地の隅には古びた墓石が並び、村人たちは夜になると何者かが死者たちを呼び覚まし、舞踏させていると言い伝えていました。

ある晩、勇敢な若者、ヘンリクは友人たちとともにその墓地に忍び込むことを決意しました。墓地に足を踏み入れると、月明かりに照らされた墓地に死者たちが次第に姿を現し始めました。彼らは白く輝く衣装をまとい、不気味な旋律に合わせて舞踏を繰り広げていました。

ヘンリクと友人たちはその幻想的な舞踏に見入り、死者たちが生前の喜びを求めているのではないかと考えました。しかし、舞踏が進むにつれて、死者たちの表情が次第に歪んでいくのに気づきました。それは悲しみや絶望の表情であり、死者たちが地上に未練を抱いていることを示していました。

死者たちは次第に舞踏に狂奔し、友人たちがその勢いに巻き込まれていきました。ヘンリクは混乱に巻き込まれることなく逃げることができましたが、友人たちは墓地の中で舞踏が続く幻想の中に取り込まれてしまったのです。

ヘンリクは村人たちに死者たちの舞踏を伝え、彼らは墓地を封鎖し、呪いを解くために祈りを捧げました。しばらく後、墓地からは不気味な舞踏の音が消え、村の平和が戻ってきましたが、死者たちの舞踏の幻影は村人たちの心にぬぐい切れない影を残しました。