第8話:龍王族 ナーガラージャ シェナ・セイクリウス

 龍王族ナーガラージャ。龍神パイロンによって産み出された彼らは神龍または、神竜の血と姿と力を受け継ぎ、他の種族に龍または竜への知識を授けた。


 南の城壁では今までの城壁とは違い、多くの赤黒い炎で形成されたドラゴンの大軍が上空を埋め尽くしていた。

 あまりにも非常識な光景を見たグロリアは情緒が崩れ、笑い出した。

「あははは、あははは! ドラゴンがいる、たくさんだ! あははは!」

「あれは焼却竜ナパームドラゴンね。あれも神話級ミソロジークラスの魔物だけど、万物を燃やすしか取り柄のない、故郷には何処にでもいる害獣、いや…害竜…」

「ふざけるな! どうみても、世界の終末じゃないか! 居るんだろ、この世紀末を救うお前たちの仲間が! 言えよ、教えろよ、さっさと終わらせろよ!」

「ついに自暴自棄になったわね。ほら、あの草原にいるから、着いてきなさい。」

 キレたグロリアはエアノーラに連れられ、草原を見ると、そこには金髪のロングヘアーに黄金の瞳、黄金の龍角と龍尾、泣き黒子、豊満な胸を持つ清らかな女性が、白銀の刺繍で聖竜の衣裳をあしらった黄金の修道服のローブを着て、お淑やかに立っていた。

「あらあら、皆さん、お揃いで。ということは…リオスも、いますね。」

「ああ、いるぜ、シェナ。リオスはこの通り、ぐっすり眠っているぜ。」

 お淑やかな少女、シェナはディムナに背負われたリオスを見るなり、彼に抱き着き、オウヒ同様に頬擦りをする。

「リオスはまた、の魔物の群れに向かって、特攻したわ。」

「あらあら、リオスったら。また、あんな無茶をして。でも、勇敢なのは偉いし、やんちゃなのは可愛いから、私は何度でも許しますよ。よしよし。」

 シェナはリオスを頭を撫でた後、焼却竜ナパームドラゴンの群れの方へ向き、懐から翡翠色の表紙に黄金の縁を持つ竜神族に伝わる秘伝の聖典【聖天龍の福音】を取り出し、和かな笑みを浮かべながら唱える。

「さぁ、私もリオスのように頑張りましょう。聖天龍たる我が誓う、愚かなる悪しき者どもに善心を施し、産まれ変わる導を与えんことを。善仔輪廻昇天生セイクリッド・リインカーネーション。」

 上空に眩くも、優しい白き極光が引き詰められ、焼却竜ナパームドラゴンたちを包んだ瞬間、そのドラゴンたちの身体はみるみる小さくなり、子供の白銀竜の群れへと変貌した。

「キュッ、キュッ、キュアー。」

「あらあら、可愛い白星仔竜プラチナ・パピードラゴンに生まれ変わりましたね。偉い偉い。」

 白星仔竜プラチナ・パピードラゴンの群れはシェナに群がり、懐いていた。

 それを見たグロリアは度胆を抜き、唖然した。

「あんな恐ろしいドラゴン共をあんな無害な子供に変えるなんて…」

「まぁ、どんな屈強な奴をあんな風に転生させるなんて、怖いけどね。」

 シェナが白星仔竜プラチナ・パピードラゴンの群れと戯れている内に蒼い上空に突如として黒穴ブラックホールが現れ、中から暗黒物質ダークマターで形成された邪竜が姿を現し、地球では表せない奇怪奇天烈な叫びを発する。

「★♪¥*=〒=#=<>=!」

「なんだあれは!? 黒穴ブラックホールということはオウヒか!? 彼女がやったのか!?」

「違う、私とは関係ない。あれは暗黒銀河竜ダークギャラクシードラゴン。この星一帯を飲み込む、宇宙、はたまた、銀河の厄災。」

「ふざけるな! SFじゃないんだぞ! これ、ファンタジーなんだぞ!」

 メタ発言をして、またもやキレるグロリアを傍に、シェナは暗黒銀河竜ダークギャラクシードラゴンに怯える白星仔竜プラチナ・パピードラゴンの群れを見て、顔を膨らませながら、少し不機嫌に怒る。

「許せませんね、可愛い仔竜たちを怖がらせるなんて。」

 シェナは暗黒銀河竜ダークギャラクシードラゴンを指差して、唱える。

「聖天龍たる我が誓う、世界の理の外に来訪せし厄災に森羅万象さえも穿つ白き鉄槌を与えん、超新聖爆流スーパーノヴァビックバンレイバースト。」

 指先から凄まじい空を覆い尽くすほどの極太な純白の光線を放ち、暗黒銀河竜ダークギャラクシードラゴン黒穴ブラックホールごと、この世界から消し去った。

「????????????????????」

「…きゅーーー!」

 奇妙な断末魔を上げた暗黒銀河竜ダークギャラクシードラゴンの死に様を見たグロリアは遂には気絶した。



 




 

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