第3話 パパ
『1000万円/パパ-今日もユウたそ可愛いよ!』
「パパさん、1000万円ウルチャありがと♡」
今日もユウちゃんねるは大盛況。最近冷たい娘だが、配信の中では優しく微笑んでくれる。
VTsuberは慣れなかったが、娘に似たアバターがとてもリアルに動いており実際に会話している感覚になる。世界の中心はもはやVTsuberだ。
「…んな…ま…旦那様!」
幸せなバーチャル世界から現実に戻したのは、執事長のヒツジ。グラフや数字が列挙された紙を差し出してくる。
「何だ、せっかく可愛い娘と話していたのに」
「こちら、お嬢様のVTsuber活動の収支報告書でございます。いかがいたしましょうか。」
私は世界を牛耳る巨大財閥の長。言われなくても圧倒的な赤字であることくらい知っている。
「娘のやりたいように続けろ、これは有望な娘への投資だ。それより最近問題になっている『アンチ』対策はどうした」
「配信については執事10名体制で即時対処しております。SNSについては運営会社へ連絡しておりますが、対応が遅れお嬢様の目に入るケースも増えている様です」
最近娘を妬む者が増えてきており、天才な娘は気にしないよう振舞っているが父親の私にはわかる。何とかせねばならないが…
「そうだ、全てのSNS会社を買収しよう!これで直接迅速に『アンチ』を消せる。我ながら名案ではないか」
「流石旦那様でございます、今すぐ手配いたします」
こうしてSNSからもユウちゃんねるの『アンチ』は消滅した。
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