第1603話

 濡れたことにより、婆娑羅の足が地面と共に凍りつき固定されるのだった。だが、瞬時に火の槍を取り出し、地面に突き刺することでその拘束から逃れるのだった。だが、タイミングがずれた。さらに姿も見失っている。


 その結果、婆娑羅が選んだ最善の手は、とりあえずのカースウエポンの破壊だ。飛んでくるウィンドエンチャントが施されたカースウエポンの破壊だった。


 魔力を温存するために、自分の上にあった槍の半分を動かすことで、カースウエポンの破壊を行うのだった。カースウエポンと婆娑羅が飛行させる槍の違い、それは自分で操作を必要とするか、任せることができるのかの違いだ。


 そのため、婆娑羅はカースウエポンから目を離す事はできない。その代わり、全神経を集中してどこから攻撃が来てもいいように準備をしているのだった。


 騎士は、黒炎の効果ですぐに氷結状態から出ているのだった。そして、最後の1枚のアースウォールを突き破り攻撃を仕掛ける。上を見ているおかげで、婆娑羅の視界外からの攻撃になる。だが、集中力が極限状態になっていた婆娑羅は、その騎士の動きに反応するのだった。騎士が殴ろうと右手を突き出す。


 だが、槍を騎士の体の内側に入れ横に弾くようにして、腕を外に弾く。防ぎ切ったのだ。そして、その防御ができない状態の騎士に対して魔法を放つことで殺すのだった。


 騎士の胸に穴が開き、後ろのアースウォールをも魔法が貫く。殺すための威力がわからないことからのオーバーキルだ。騎士の攻撃は警戒されていたのだろう。殺し方がスムーズで確立されているのだった。


 数歩出たことで、婆娑羅の背後にアースウォールを作り出すことができた。そして、そのアースウォールをすぐに解除するのだった。そこに婆娑羅の魔法が通り抜ける。


 前回の戦いを意識しすぎだな。婆娑羅はアースウォールの裏に瞬時に移動をしたと考えたのだった。


 弧を描くようにして、魔術師の魔法が放たれるのだった。だが、狙いは少しずれており、婆娑羅に直撃する事はない。すぐさま、魔術師は白狼に乗り右回りに移動をする。そのいた場所に、風魔法が打ち込まれるのだった。


 アースウォールに穴が開く。穴の部分にあった土は圧縮され、空中に浮いているのだった。それらの土の弾丸が表面を覆う氷を破りながら婆娑羅に一斉放火される。


 作られた穴から魔術師が婆娑羅の位置を補足し、上向きに魔法を放つ。今度はしっかりと直撃をした。だが、シールドのスクロールを使うことでしっかりと防御をしていたのだった。


 シールドタートルからドロップしたスクロールだろう。


(槍って破壊してよかったっけ?・・・聞いておけばよかったな〜)


 正直、あの槍を全て壊し切れば、勝ちは確定のようなものだ。壊してから後から文句言われるのもなーと思い。破壊は辞めていたのだった。それにより、あの槍たちはフリーな状況で魔法を打ち込める状況になっている。


 アースウォールに穴を開けて放ったあと、すぐに穴を修復するのだった。少しだけアースウォールの厚さが薄くなる。マジックバッグから銃火器を取り出し、アースウォールの裏にまで移動させるのだった。


(そろそろ、俺も動くか)


 その場から一歩も動いていなかったがついに動き出すのだった。

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