第1545話

 次の階層への許可は出てきていない。何を必要以上に気をつける必要があるのだろうか?まあ今日は休日だ。のんびりと過ごすことにするか。


「今の勇者たちの事情はどんなもん?」


 隣で家事をしている悪魔に話しかけるのだった。

「壊滅状態ですね」


 完全に堕天使になったものが、暴れているそれの対処がどうなっているのか気になっていた。だが、壊滅状態になっているのであれば、何も問題はないだろう。


「勇者についてた天使の方は?」

「全滅です。残っている天使は、この子とあの堕天使の魔王くらいですね」

「やっぱり魔王化したか」

「そして、1体の魔王が死にました」


「どの魔王?」

「獣人の魔王です」

「ライオンか」

「ええ」


 魔王として君臨していたライカンスロープの魔王だった。その魔王が死んだのか。悪魔とか精霊王とかじゃなくてよかった・・・。あれらが負けるのであれば、勝ち目は薄いからな・・・。


「殺したものは?」

「未確定です」

「勇者である可能性は?」

「限りなくゼロです」


 チート持ちか、ユニークスキルでの初見殺し、この辺りだろう。

「ドロップは何がある?武器?素材?スキルブック?」


 それ次第で新たな強者として君臨することになるだろう。

「ユニークスキルが1つ、虚無ノ手インビジブルハンズ

「何本の手?」

「最大20本です。申告制なのであまりよくわかっていません」


 どうやって攻略をしたのかが気になるところだ。最初から武器を持っているのなら、その存在がわかっている。だが、奇襲として透明の手が残っている場合は脅威になるだろう。めんどくさいスキルが渡ってしまったようだ。


 制限とかデメリットとかわかるのだろうか?マリアの影の魔物みたいな感じにHPを消費するとかの能力であれば、負けた理由にも納得がいく。だが、通常の戦闘をして負けましたとかであれば、話にならないだろう。


「こっちでも調べておくわ・・・」


 自己愛が強い人間であれば、そのことを開示したいはずだ。魔王の存在もあのスケルトン以降の話は出ていない。詳細を知っているように見せかけ、予測しか立てていなかったものだけだ。


 ダンジョン関連のサイトで魔王と調べ、出てくるもの動画を流していく。再生数の高い順に並び替え、ガセ情報を流しているものはブロックしつつ探していく。数人は、魔王を作るための実験を行なっているものがあるだけでこの情報は終わる。


 それなら、魔王と知らなかったパターンだ。言語を介す魔物と検索をかけるのだった。出てくるのは簡単な言語を話し、トラップに誘き寄せようとする魔物だ。半分はこんな感じで、残りはゴブリンやコボルトに言語を教えさせるというものだ。普通に気になり、見ていたがある程度の会話ができるようだ。


 だが、第二言語ということもあり、カタコトや時間を空けての返答であったりと即返答をして戦闘をするようなものとしては使うことができない。探し始めて、5時間ほどだ。結局見つからなかった。あまり自己顕示欲がないのだろうか?まあ1人減ったところで新たに別のものがやってくるだけだろう。

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