第1483話

「闇に包まれた空間から脱出したが、ここで魔法の追い討ちだー!」


 鉄扇を仰ぐことにより、風が吹き荒れる。天狗の団扇(うちわ)のような性能をしているのだろう。そこに斬撃が放たれることで、魔法を打ち消すのだった。ただの斬撃ではない、広範囲にも及ぶ斬撃だ。これにより用意されていた魔法は全て破壊された。


「魔法に対する対策は万全か!魔法を持っていないかに思われていたが、魔法を持っていたようだ」


 結晶化させた槍を放つのだった。だが、見えていた軌道は、簡単に避けられる。そして、刺さった地面が結晶化を始める。結晶化していく地面は、俺のコントロールから外れていく。


「遠距離攻撃はなく、リリスを止める手段を持っていないのが痛いところだ!」


 鉄扇の有効攻撃範囲は狭いのだろう。あまり意味のある攻撃には思えなかった。対魔法専用にカスタマイズしているのか?


 今度は通り抜けるパイトスを無視するのだった。槍を前に構え突進をする。騎兵が馬に乗り突撃をするかのような行動だ。アーツがあるのだろう。だが、おでんは横に避けることで回避をする。通り過ぎると思われた時だった。急に止まり、槍を薙ぎ払うのだった。


 これにより槍は割れてしまい、新しい槍が生成される。再びランスロットが近づいてくると思いきや、急ブレーキをかけ、軽く手を離すことで石突の方に持ち替え、槍を地面スレスレで薙ぎ払うのだった。オデンの方は槍を地面に突き刺すことでその槍を受け止める。


 そして、すぐさま槍を手放し、新しい槍を作り出す。薙ぎ払いをし体を低くしているランスロットに、その作り出した槍を突き立てようとするのだった。だが、起き上がりながら下がることでその突き刺しを回避する。突き刺した槍は深々とステージに突き刺さった。


「ここで追撃ができなかったのは痛いな・・・」


 武器を瞬時に作り出すことができると言う手札がバレた。奇襲がしにくくなるぞ・・・。これで、槍以外の武器を作れますとなれば、まだマシだがそんな性能はなかったはずだ。


 制限時間は一刻と進んでいくのだった。正直、制限時間なんて邪魔なものはいらないと思ってしまう。制限時間がないからこその読み合いとかも起きるはずだ。どちらがマイペースに戦闘ができるのかが問題だな。


 これで突き刺した場所は合計3箇所だ。そこから順調にステージの結晶化が進んでいく。全てが結晶化した時には勝利は確定だな。そこまで待ってくれるのかは知らないけど。


 ランスロットがここにきてステージが結晶化してきたことに気がつく。真っ先に行いたいのはその刺さっている槍の破壊だろう。どんな効果やどんな不利益を与えるのか、それの予想ができない。


「おっとここでランスロットが、刺さっている槍の破壊に動く!」


 だが、その破壊を防ぐためにさらに数歩前に出ることで、ランスロットの槍を防ぐのだった。狙いが丸わかりの攻撃にカウンターはしやすいものだ。オデンのカウンターが綺麗に入り、ランスロットは戦闘不能、もとより場外となるのだった。


 そして、リリスの方は、ランスロットが負けたことをみるや自分から場外に行くのだった。これにて勝利で幕を閉じる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る