第1450話
マリアはソロなため、コボルトの奇襲を警戒する。対するコボルトは敵を捜索するために分担するようだ。15体を、3体グループの計5つに分断し、散っていく。トラップがあれば、引っかかるのを待てばいい。それが本来の31階層での魔物だ。
そこに出会う前の巡回兵との戦い的な感じがこのシチュエーションかな?汗をかくことがわかっているのだから、香水はつけていない。ここで香水をつけていれば、コボルトも一瞬でわかって奇襲ができていたはずだ。
「ワオーン」
コボルトの鳴く声が反響する。どうやらマリアの位置を補足したようだ。散りじりになり捜索していたコボルトが合流しながらマリアの位置に近づくのだった。発見された原因は、匂いだ。まあ、どうすることもできない要因だ。
コボルトが鳴いたことにより、位置が特定されたことがマリアにも伝わった。だが、問題はコボルトはどこからやってきているのか?だ。開始直後なことから、背後を取られての背中からの奇襲はない。そう判断する。
それならあり得るのは、左右と正面の三方向からだ。バックステップで距離をあけつつ、魔法を木の裏や地面に設置する。発動させるのかはマリア次第だな。コボルトは吠えただけで、行動には移していない。まずは、集まるのを待った形だ。
コボルトは匂いでぎりぎり終える距離を保っている。そのため、マリアに見つかる心配はないのだった。
(破壊してもいいって伝えてなかったっけな・・・)
それが原因で停滞をしている可能性があるだけのことだ。もし奇襲を警戒するのであれば、木を破壊し、開けた土地に作り替えればいいだけだ。そして、木の内側に魔法でも設置しておけば、外からだと見にくいトラップが出来上がる。
ある程度の数のコボルトが合流した。コボルトの数は、12体だ。真逆の方向に探索をしていたコボルトの合流が遅れたのだった。まあ、数では圧倒的に有利な状況だ。本格的な進軍を開始する。そのまま正面からいくのではなく、3グループに等分するのだった。
どのグループにも魔法使いがいる。匂いで追うのが限界になったのだろう。通ってすぐのところであれば、匂いが集中している。だが、通った後でしばらく経ったことで匂いが広がり、確実な道が消えたのだ。
再びコボルトが鳴く。先に行くという合図だろう。三手に分かれての捜索が始まる。マリアの方は2体の影の魔物に命令し、香水を周りに振りかけているのだった。香水なんて知らないから安いか高いかはわからない。まあ、大量に吹きかけているのだから安物だろう。
仕掛けていた魔法が爆発するのだった。もう、コボルトは通り過ぎた後だ。だが、この方向にいるのは偽物で、後ろにいるのが本物である。という可能性がコボルトの脳内に浮上する。戦闘の思考ができている証拠だ。
疑いにより思考が低下していくのだろう。マリア自身は横に展開する。そして、影の魔物は互いに香水をかけあるのだった。その二体の影の魔物は分散する。正面から攻撃を仕掛けるもの、右に攻撃を仕掛けるものに分かれた。
マリアは何もない左側に移動する。匂いでバレそうなところだが、香水のおかげでその心配はなくなる。香水の匂いが強いために、マリア自身の匂いが隠れるのだった。
シュールストレミングの近くに焼き魚を置いたところで、臭い匂いしかせず焼き魚の匂いはわからないようなものだ。強すぎる匂いは弱い匂いを隠すのに最適な状態になった。
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