刑事の相棒は怪
高井希
第1話新人熱血刑事参上
「おはようございます。尾崎課長。今日ですよね、例の新人が入ってくるの。」
「ああ、岡村君、おはよう。今日付けで彼、交通課からウチに異動だ。熱血青年らしいよ。」
「ああ、一番厄介ですよね。熱血漢とか、ウチに合わなくて浮いちゃうでしょう。」
「まあ、まだ若いんだから、こちらの指導次第で何とかね。」
「誰ですか?。熱血が刑事にむいているなんて時代錯誤な理由で、刑事課にヤツを異動させたの?。」
「本当は交通課の部長がね、市民からの苦情に辟易して、こっちに追い出したらしいよ。表向きは、『彼の熱血ぶりは刑事課にこそ必要だ』ってことになってるけどね。」
「やっぱり。あんまり面倒な奴だったら、私は無視しますからね。」
優柔不断、いや『柳に雪折れなし』をモットーとする岡村主任は、熱血とか我武者羅を異常に嫌っていた。
刑事課の隅にある衝立で仕切られた喫煙所で、二人の刑事は朝の一服を終え、それぞれのデスクに戻った。
尾崎課長のデスクの上には、読みかけの報告書だのゴルフ雑誌だの、麻雀の清算のメモ書きだのが乱雑に積まれ、万が一機密書類が混じっていても本人以外には探し出せない不思議なセキュリティーシステムを構築していた。
岡村主任の机の上には、まったく物がなかったが、それは回ってきた書類をすぐに部下に丸投げしているだけの事であった。
「おはようございます。今日からこちらに配属になりました、大畑敏則です。誠心誠意ビンビン頑張りますので、よろしくお願いします。」
先ほど噂していた大畑刑事が大声であいさつし、尾崎課長は首を亀のようにすくめ、岡村主任は耳を塞いだ。
「ああ、おはよう。課長の尾崎です。そんな大声出さなくて、力を抜いていいから。あの席に座って。そこに置いてある書類に目を通しておいて。」
「私、三上です。よろしく。」
大畑刑事が座ったデスクの隣で、とっちゃん坊屋のような中年の男性が、自己紹介した。
「あ、よろしくお願いします。三上さんは、ここ長いんですか?。」
「うん、まだ10年だけどね。実は移動願い出してるんだけど、人手不足でなかなか移動させて貰えないんだ。」
「え?。せっかく刑事になったのに、移動希望ですか?。」
「まあね、命あってだからね。うちのカミさんが事務職に移れってうるさいんだ。」
部屋の中にも関わらず、三上氏はしわくちゃのトレンチコートを着たままだったし、会話ではうちのカミさんを連発していた。
ーまるで、刑事コロンボのコスプレしてるようだ。そういえば、刑事コロンボも背が低かったな。ー
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