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小林悠真は大変に気分が良かった。
相も変わらず学校自体はクソだ。教室で自分の顔を見た時のクラスの連中の様子。それを見てなお「仲良くしろ」などとホザく教師。
授業は意味のない内容ばかり教えているし、何より足並みを揃えないといけないというのが苦痛だ。自分はとっくに理解しているところを馬鹿に合わせて待たなくてはならないのがイライラするし、自分が理解できないところを自分に合わせて待たれるのも劣等感を刺激されてイライラした。
部活動も、運動部は陰湿な脳筋どもの自己満足だし、文化部は根暗なオタクどもの馴れ合いだ。
その点、家にいればあの豚女と豚男は殴ればひとまず黙るし食事も自動的に持ってくる。自分は引きこもっているのではない。無駄なことをしていない、効率的な人間なのだ。
だが、そんな学校も一つの目的があって来ると趣が大きく違う。まるでオープンワールドRPGで高難度のクエストに挑むような気分だ。校舎は大きなダンジョンで、最奥には高レアの報酬が待っている。そう考えると現実というのは全く神ゲーだ。圧倒的な映像と自由度で好きに振舞える。
自分が学校へ行くと言い出すと、しつこく付きまとっていた望月とかいう教師は太鼓腹を叩いたり禿頭を叩いたりして喜んでいたが、勘違いも甚だしい。お前らの言いなりになるわけではない。
ゲームで鍛えた素晴らしい洞察力で予断なく観察し、一つ一つ確認事項にチェックを入れていく。教室の景色、三井という担任教師、そして……。全てのピースが想定通りに嵌まっていく。アイテムは出そろい、フラグは立った。あとはいつ実行するかだ。
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