番外編 【限界ピンクチャレンジ】3人の夜の話②

 俺ら3人は汗だくになりながらシャワーを浴び直して風呂から上がった。

 体を拭いたり、髪を乾かしたりしている間は普通に喋る。

 さっきまでの事が無かったみたい。

 けどことになるわけでもないし、そうしようとしているわけでもない。


 自分から欲しがった椎名をからかったりもするし、その逆にからかわれたりもする。

 明るい下ネタ話とでもいうべきか。


「どう思いますか椎名さんや」

「これはいけませんねええ。けしからんですね拓斗さんや」

「あ、あの……髪を乾かしにくいんだけどぉ……」


 椅子に座って髪を乾かしている姉ちゃんの胸を凝視する俺と椎名。

 椎名なんて露骨に姉ちゃんの胸を揉みしだいている。どうやら相当羨ましいようだ。


「世の男たちが欲する理由があたしにもわかってしまう……」

「あっ♡ ……し、椎名ちゃんっ?!」


 髪を乾かしている姉ちゃんは両手が塞がっているのを良いことにちちくりはじめる椎名。

 ……こいつ、俺より変態なんじゃないだろうか?

 がしかし百合百合しいふたりのこの光景は嫉妬するどころか興奮する。


 あれ? 俺居なくてもいいのではないだろうか?

 なんかもうふたりだけで充分にエロスとしては完成していないか?

 というかむしろ俺は邪魔なんじゃないか?

 ふたりがまぐわってるのをこっそり楽しむのもアリかもしれん。


「タ、タクぅ……椎名ちゃんを止めてよぉ……ぁ♡」

「椎名に攻められている姉ちゃんもなかなかにそそりますな」

「タクっ?!」

「というわけでは拓斗から桃姉をあたしが寝取ります」

「椎名ちゃん……そこはっ……ダメッッ♡」


 ドライヤーが明後日の方向を向いたまま姉ちゃんはひたすらに椎名の攻めを耐え続けている。

 それでもやはり姉ちゃんにとって髪の毛は大事なのか必死に髪を乾かそうとしている。


「拓斗、冷蔵庫に入ってる精力剤取ってきてくれる? 3本あるはずだから」

「イッ♡」

「そんなの俺は買ってないぞ?」

「ちょ、ッッ♡?!」

「さっきコンビニ寄った時に買って冷やしてたの」

「なるほど」


 器用にも姉ちゃんのカラダをまさぐりながらそんな事を言ってくる椎名。

 やはり女性はマルチタスクが得意らしい。

 ……まあ姉ちゃんは快感に負けてるけども。


 全裸のまま冷蔵庫を開けるとしっかりと精力剤が3本あった。

 用意していたということは椎名は予めそうしようとしていたということなのだろう。

 今夜は長い夜になりそうである。


「はいよ。持ってきたぞ」

「ありがと」


 椎名に手渡すとそれを口に含んで姉ちゃんにキスをした。

 そのまま口移しで飲ませながら舌を絡めていた。

 あまりにも背徳的な絵に俺は見とれていた。


 精力剤が実際効くのかどうかは初めてなのでわからないが、それをこれから実験していくというのも悪くはない。


「んんっ♡」


 椎名は姉ちゃんに跨りワレメをなぞりながらもキスを止めない。

 もはやされるがままの姉ちゃんの下半身からは瑞々みずみずしい効果音が脱衣場に響いた。

 椎名の猛攻は緩むことなく続き、姉ちゃんはだらりと腕を下げて椅子を濡らしてほうけていた。


 姉ちゃんの唇から離れた椎名の舌からも糸を引き、女同士のまぐわいの可能性を見せつけられた。


「拓斗も……欲しい?」

「……欲しいです。はい」


 椎名の瞳がいやらしくも鋭く、それでいてメスの顔をしていた。

 いつもと違う椎名の表情に新鮮な興奮を覚えた。


 椎名はもう1本の精力剤を口に含んで俺にもキスをしてきた。

 独特な味でありあまり美味しくはなかったが、椎名の唾液と混ざった液体と椎名の舌が絡まっていく。

 密着している為に胸も押し付けられていてる状況下で舌を絡められて理性がどんどん溶けていく。

 さらに椎名はゆっくりと手を下に伸ばして優しく握ってきた。


「っぷは♡。……苦しかったら、出していいから」


 椎名の細く小さな手の感触が刺激となって俺まで姉ちゃんのように思考できなくなってき始めた。


「……あたしが、拓斗の全部、受け止めるから♡」


 そう言ってまた舌を絡めてきた椎名。

 こんな椎名は今まで見たことがなかった。

 今までで1番積極的だった。


 初めて椎名を抱いた時とは全然違う。

 だが同じなのは受け入れようという慈愛にも似た愛情である。


 姉ちゃんにフラれて、まだ立ち直れていなかった時にちょっとした口論の末に俺が椎名を押し倒すような形になってしまった。

 そんな時、椎名は泣きながらも俺の頬に触れて「それでも好きだから」と言ってくれた。


 行き場のなかった悲しみを椎名で埋めようとした俺をそれでも椎名は受け入れた。

 椎名を抱きながら、頭の中には姉ちゃんとの行為を思い出していた。

 そんな事も椎名に見透かされていて、椎名が「今だけは、拓斗のお姉ちゃんだから」と優しく微笑んだのだ。


 そんな都合のいい言葉を言う椎名に俺は甘えた。


 けど今は違う。

 明確に椎名から求められているという高揚感があった。

 どんどん交わっていくのがわかった。

 椎名なりの自我の主張でもあり、罪悪感をどこかで感じていた俺はそんな椎名に少しだけ救われたような気がした。

 椎名が俺を全肯定してくれる。

 この安心感が心地よかった。


 絡めてきていた舌が離れていくことに名残惜しさを感じたのも束の間、椎名はしゃがんで咥え込んだ。

 腰に手を回して受け止めようと吸いながら口を前後に動かしてくる。


 椎名は口でするのがとにかく上手くて、いつもすぐに搾り取られてしまう。

 ずっとそばにいて尽くしてくれる椎名の性格がそのまま反映されているからだろう。

 それでも俺は必死に耐えていたが、やはりあっけなく椎名の口の中に出してしまった。

 椎名のテクニックに俺は勝てない。


「ごっくん♡」


 息を切らしながらも、椎名は飲み込んでいやらしく微笑んだ。


「お掃除してあげる」

「ちょと待っ! 今はっ」


 舌を絡めて転がされ、楽しそうにしている椎名はこの場の誰よりもいやらしかった。


「はぁ……♡ はぁ……♡」


 椎名に弄ばれ、姉ちゃんの意識が戻ってきた。

 それでも姉ちゃんは体に力が入らないのか虫の息だった。

 椎名は俺のカラダをゆっくりと撫でて「まだイけるよね?」と聞いてきた。

 今の俺には椎名が淫魔サキュバスに見えた。


 そうして椎名は最後の精力剤を飲み干した。

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