cubeの必須スキルは一つ──たった一言でリスナーの心を掴むこと

※以前近況ノートに綴った通り、次の更新は土曜日以降となります……!

 今話の更新はお詫びです……お納めください!




「まあそれはそれとして! ……炎上中の奴を養護するようなことして大丈夫なのかよ!? トレンドにも上がってんだぞ!?」

『クックック……オイオイ、何言ってんだよ? オレからすればむしろ──ソラの炎上を利用して注目を集められるんだぜェ? こんな美味しいごちそうに飛びつかねえわけねえだろうがァ!』


 こいつ……っ!!


「……でもそれで反感買うようなことになったら、やべえんじゃねえのかよ?」


 確かに神埼の思惑通りトレンドに上がるほどの大きな注目を集めている、


 だがその関心には当然、好意だけでなく──悪意も含まれている。


 そんな真似をして、凛の仕事に影響が出たら流石に困る。


『それに関しちゃ心配ねえよ。ちゃんとごちそうを利用して煽るだけ煽って、最後はいい話として着地させれば丸く収まるんだからなァ?』

「……いい話?」

『まあ放送を聞いとけよ……特別なゲストを用意してんだからなァ……!』


 と、通話が終了する。


 特別な……ゲスト……?


 突然の情報に処理が追いつかないが、状況を把握するためにも再びラジオを再生する。


『はあ……まだソラさんの素晴らしさが伝わっていないようですね……』


 凛の残念そうな声が聞こえてくる。

 それはそうと、特別なゲストって一体誰だ……?


『こうなると──ソラさんをよく知る人から話を聞いた方が話が早いですよね』



 え……俺をよく知る人……?



「というわけでご紹介します……本日の特別ゲスト、cubeの紅葉ちゃんです』



 ……………………………………………………………………………………………え?




〈は、はじめまして!〉


 聞こえてくるのは……我がcubeが誇る天然娘の声。


『はじめまして。本日のcubeの出演は、私が通っている柊木芸能学園が主催したコンテストがきっかけなのですが……今回は私の要望で紅葉ちゃんをお呼びさせていただきました』


〈あたしなんかでよかったのかな……〉


 困惑気味な声だが、改めて電波に乗せた更級の声を聞いてみると、流石二宮に声がきっかけで見初められただけはある。

 あどけなさが残る澄んだ声はラジオと相性がいいなあ……。


 ……いや冷静に分析してる場合じゃねえ!

 なんでこいつが凛のラジオ出てんだよ!!

 チッ……きっと神崎のヤツが裏でなんか噛んでやがんだろうなあああ!!



 っていうか更級……いきなり全国放送とか大丈夫か……?


 ああ、もうなんでこっちがお母さん目線になってんだよ!

 もう訳わかんねえ!


 ……でも頼むから、いつもみたいなド天然発言は控えてくれよ……!


『今回の件でcube参謀のソラさんがずいぶんと誤解されているようなので、一ファンとしてここは是非、当事者に語ってもらうのが良いかと思いまして。ちなみにcubeのソラさんって普段どういった方ですか?』


〈えっと……ヌードメーカー的な?〉



 ──俺は天を仰いだ。




 ◇




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【朗報】

参謀、JKを脱がせるド畜生だった件について

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とんでもない暴露で草

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ヌードメーカーwww

とんでもねえパワーワード出た

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我らが参謀の本性がバレましたねえ……!

っていうか紅葉たんの声がタイプ過ぎてつらい!

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 伝 統 芸 能 !


 うん。はいはいどうせこんなパワーワード、バズらないわけねーんだよ、

 で、また俺の風評被害が一つ増える未来。

 俺知ってる。知ってるよこの伝統芸能。


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紅葉ちゃん緊張してるのかな……がんばれ

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 違うんですよ……むしろこれが平常運転なんですよ……。


 ああ……今すぐ放送をミュートしてふて寝したい。

 でも……更級もきっと、俺のために良かれと思ってラジオに出てくれているんだろう。


 ──彼女の優しい想いをぞんざいに扱うわけにはいかない。


 まあ……良かれと思って大惨事になるのが更級なんだけど。

 うちの天然娘は本当に期待を軽々と超えてきやがるからな……!


「しゃーねーな……!」


 俺は坐して腕を組み、鋼の心で放送を聞き届ける覚悟を決めた。


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