第24話 シュオール自己紹介をする。
「……という訳で妾は大地のエンシェントドラゴンロードの化身である「シュオール」じゃ。よろしくな。」
ぶす~と不満そうな顔をしながらもシュオールはやってきた瑞樹や姫奈たちに挨拶をする。人外である証である頭の角や背中の翼、そして尻尾など竜人である事を示すその証を見ながら、瑞樹たちは、お、おう、と返事を返す。
シュオールは大地を司る存在であり、彼女がいれば今Dが行っている大半の仕事……食料生産・資源生産などのほとんどを代わりに行う事ができる。
Dからすれば仕事を肩代わりに出来てにこにこだが、シュオールからしたら「何で妾が……」という所だろう。
だが、契約で結ばれているためどのように思おうが仕事はする、という態度ではある。
「は、はぁ……。よろしくお願いします……。それでこちらに協力してくれるので……?」
「まあ……人間どもに不本意ではあるが仕方あるまいな……。正直協力するのはどうなの?とは思うが……。まあ安心しろ。別段お主に不満を持っているのではない。多少不本意なだけだからきちんと仕事は行う。お主と協力するのも否はない。」
ともあれ、シュオールは別段瑞樹や姫奈に対して敵対的ではない。彼女が不満を持っているのは、人類に対して不満を持っているのに協力しなければならない、というこの状況なのだろう。何が悲しくて人類に対して不満を持っているのに人類のための食糧生産や資源生産などを行わなくてはならないのか……というのが
「とりあえず、食料生産や資源生産などは妾が引き受けよう。こやつよりは人間たちの事は理解しているつもりだしな……。まあそれは良い。ともあれダンジョン構造をもっと本格的に考えなくてはな……。1階から10階程度まではダンジョン周辺はガチガチのストーンゴレームの警備などで固めて不審者撃退用の階層。
そして、迷宮都市階層、迷宮農業階層などはさらに奥に移動させて安全性を確保するか……。資源鉱山階層などは向こうの迷宮に移して万が一でもこのダンジョンが鉱毒などに汚染されないようにしなければな……。」
さらっと言っているが、それはダンジョン階層自体をまるで入れ子のように丸ごと移動させられる事ができるという事である。空間拡張を行い、無限に広くした階層も自由自在に他階層と移動できるというのは完全に物理法則を無視しているが、このダンジョン内部はDの体内、内宇宙そのものである。
それを利用して、DもシュオールもDの迷宮の防備をガチガチに固めて他の冒険者たちを立ち入れなくするつもり満々である。
「とはいう物の人手が単純作業しかできないストーンゴーレムだけなのもアレだから……。そろそろ亜人種とか解凍して増やしちゃう?やっぱり地下迷宮ならドワーフ族かなぁ~。資源採掘とか資源から色々作り出すのにも彼らの手が必要だし。解凍されると同時に契約で服従誓わされるから私に逆らう心配はないし。」
「そうじゃな。さすがにこれだけの仕事を妾がゴーレムたちを指揮して行うのはめんどくさいし、自分たちで判断して行動する種族たちがいれば妾の部下として役に立つ。ドワーフ族なら地関係の妾とは関係も深いしすんなりと従ってくれるじゃろう。ぜひ頼みたいが……数はどれだけいるんじゃ?」
その言葉に、Dは自分の唇に指を当てて、ん~と言葉を口にする。
「え~っと、ざっと千人ぐらいかな?流石に凍結保存されている彼らをコピーするのは人道?に違反してるっぽいしね……。まあ迷宮都市建築してるし、ちょうどいいからそこに住まわせればいいじゃん?ちょうど有機生命体の居住空間実験にもちょうどいいでしょ!いざとなったら迷宮都市は相棒やプリちゃんたちが逃げ込んでくる絶対安全地帯にしたいしね!!」
ふむ、とその言葉にシュオールは腕を組んで考えこむ。確かに迷宮都市は瑞樹の安全地帯として開発されている場所ではあるが、実際に人間に近いドワーフ族が住んでみたら不具合などがよく分かりやすいだろう。そのデータをブラッシュアップしていけばいい。そのDの考えにシュオールも頷いた。
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