1089 2人の輪の中に入りたいけど

 真菜ちゃんの勉強を見た倉津君。

眞子のフォローもあったのだが、これにより2人の関係が少し良好に♪

そんな2人を見て、邪魔しちゃ悪いと思った眞子は……


***


「……さてさて、これで真菜ちゃんの勉強は、真琴ちゃんにある程度は任せられそうだね。そんな訳なんで、2人の勉強の邪魔者になる私は、そろそろお暇させて貰うよ」


2人の輪の中に入りたいと言う気持ちは大いにあっても。

今私が此処に入ったら、真菜ちゃんと真琴ちゃんの関係の修復の邪魔にも成るしね。

だから今は、そんな入りたい気持ちを抑えて去るのが良策ってもんだと思う。


……っと思い。

後ろ髪をひかれながらも、席を立とうとしたら……



「あっ!!待って下さい姉様」

「へっ?」

「宜しかったらなのですが。まだ、お時間が御座いましたら、もぉ直ぐ、お昼に成りますので、昼食を、ご一緒に摂られていかれては、如何でしょうか?」

「えっ?」

「あぁ、そう言えばそうだよな。このまま腹を空かせた眞子を帰らせるのもなんだし。折角だから、オマエも一緒に飯を喰って行けよ」

「えっ?でも、折角の兄妹水入らずなのに……」


この提案自体は凄く嬉しいんだけどね。

でも、矢張り……此処は断るべき。

折角の、この良い機会を潰してしまう訳にはいかないしね。


だから本心じゃ居たいけど……遠慮する事にするよ。



「オマエねぇ。そう言う言い方をするんじゃねぇの?腹違いだからって言っても、俺達は、正真正銘、血肉を分けた本当の兄弟じゃねぇかよ。今更、んな他人行儀な事を言うなよ」

「本当の姉弟……私が?」

「そうですよ、御姉様。御姉様は向井家の人間ではありますが。血の繋がりは、私達の方がズッと濃いのですよ。ですから、遠慮なんてしないで下さいませ」


もぉ……またそう言う事を言うでしょ。

そんな事を言われたら、自然と、立ち上がった腰を畳の上に落としそうになるじゃない。

……って言うか。

真琴ちゃんや、真菜ちゃんからの有り難い言葉を貰った瞬間には、もう完全に腰を落としちゃってるんだけど。


でも、なんでこんなにみんな、私に親切なの?



「……良いのかなぁ?」

「良いも、悪いも有るかよ。余計な遠慮ばっかりしてんじゃねぇの」

「でも……」

「御姉様お願いです。真菜と一緒に食事を摂って下さいませ」


本当に、なんでなんですかね?

此処でも、こんなダメな私を必要としてくれるの?


だったら、もし……もしもだよ。

これが2人の本心だって言うなら、なんで私はオッパイぶら下げてまで『他人に成りたい』なんて愚かな事を思ってたんだろうね。


元の姿のままではヤクザの問題は有ったにせよ。

この2人の様子を見て居たら、そのままでも十分に幸せだったんじゃないのかなぁ?って思えてくる。


今の私の姿は無意味に逃げただけ……


馬鹿だね……私って。


本当に大馬鹿だよ。



「本当に……邪魔じゃないかな?……私が居ても良いのかな?」

「おぉ、居ろ居ろ。オマエが嫌じゃなきゃ、寧ろ、好きなだけ居ろ」

「えっ?あっ、あぁ、うん」

「って言うかよ。奈緒さんに家も、崇秀の家も、此処も、全部オマエの家じゃんかよ。みんな、家族みたいなもんだろうに」

「そうですよ、御姉様。私達の間柄に遠慮なんて言葉は必要ないんですよ」


真琴ちゃん……


真菜ちゃん……


ダメだ。

2人の余りにも嬉しい言葉に、目に涙が溜まって零れ落ちて来ちゃったよ。

私の目からは止めどなく、ポロポロポロポロと涙が零れ落ちて行っていた。



「ぐすっ、私……1人ぼっちなんかじゃないんだね。2人共、妾腹の私なんかの事を、そんな風に思ってくれてたんだね。……ありがとう……本当にありがとう……ぐすっ、ぐすっ」

「その御様子ですと。今まで父の事で、御姉様は相当苦労されていたんですね。でも、もぉ、そんな風に思わなくても良いんですよ。御姉様は、私にとっては掛け替えのない御姉様です。ですから、母親が違うなんて些細な事は気にせず、兄様と、私には、本当の兄弟の様に接して下さいませ。真菜は心から、それを望みます」

「うぅ……ありがとう真菜ちゃん……」


そう言って真菜ちゃんは、そっと私を抱きしめてくれた。

そして、そんな真菜ちゃんからは、早くに亡くなった母の匂いがした様な気がする。


廊下で私が真菜ちゃんを抱きしめた時、真菜ちゃんが私から母の匂いがするって言ったのは、こう言う事だったんだね。


本当気持ちが落ち着く。


でも……だからと言って、これに甘えてばかりじゃダメだよね。

その感謝の気持ちがあるのであれば、もぉまどろんでる暇なんて一秒たりともない筈。

真菜ちゃんや真琴ちゃんだけに関わらず、私は、こんな風に自分に関わってくれて幸せな気持ちにしてくれた方達を、全員を幸せにしなきゃいけない。


本気で感謝をする気持ちがあるのであれば、言葉でだけじゃなく、態度でも示さないといけないもんね。


だったら!!

しなきゃいけない、じゃなく、絶対に全員幸せにしてみせる!!

それぐらいの気概がないと、みんなから頂いた、この有り難い気持ちや恩を返せないだろうしね。


よっしゃあ!!よっしゃあ!!

そうと決まったら、いつまでも泣いてないでやるぞぉ!!


ふふっ……なんて覚悟をしてみました♪



でも、心の中でとは言え。

なんか1人で盛り上がっちゃってて……ちょっと恥ずかしくもあるね。


まだ真菜ちゃんに抱きしめられたままだし(笑)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>


真菜ちゃん……凄く眞子の事を気に入ってるみたいですね。

まぁ、真菜ちゃん自身『理解力のある女姉妹が欲しかった』って言う部分もあるのかもしれませんし。

密かに、ずっと気にしていた『倉津君との仲を取り持って貰えた』なんて部分も加味して、妾腹設定の眞子であっても、自分の姉であって欲しいと考えてる面もあるのかもしれませんしね。


さてさて、そんな中。

倉津君や真菜ちゃんの言動に感動した眞子は、またなにやら変に気合いが入ってしまった様なのですが。


その気合いが変な方向に向かなきゃ良いんですが……(笑)


なので次回は、そんな眞子の様子を書いて行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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