第39話 夜は焼肉

「翔、大丈夫なのか?」

「余裕」

「バケモンかよ」


体育館を出て、野球が行われる球場まで雑談しながら歩いていると海が聞いてきた。


「海は結構キツイの?」

「そこまでじゃねぇけど、余裕ではないな」


海は高一女子としたらかなり体力がある方だと思う。

その辺の男子よりは確実にある。


「英玲奈ちゃんは?」

「お昼食べたら完全回復するZE☆」

「カツ丼?」

「カツ丼大盛りにポテトかなぁ」


男子が言うスタイルがいいと女子が言うスタイルがいいは違うとよく言われるが英玲奈は違う。

男子からも女子からも完璧なスタイルと言われるほどにスタイル抜群だ。

英玲奈曰く、ダイエットはおろか何処かの部位を意識したことなんてない。

よく食べて、よく寝て、バスケしてたらこの体型になったらしいがそれは嘘だと思う。

英玲奈の食欲はウチのような全国常連の運動部男子に匹敵するほどだし、間食もかなりしている。

この食生活で完璧なスタイルには絶対にならない。


「英玲奈、そんな食べててよく太らないね」

「運動してるからね!」

「いやぁ」


楓は苦笑い。

ちなみに楓は絶賛ダイエット中らしい。


「えりちも太ってないじゃん」

「私は気をつけてるの!」

「ダイエット?」

「うん、マネージャーだから他の子よりは食べてるけど、ご飯大盛りとか絶対しない」


絵里は俺と飯にいってもご飯は普通盛りだし、おかずを俺にくれるほど気をつけている。

買い食いも滅多にしないし、したとしてもカロリーや脂質の少ないものにしているほどだ。


「カイ、翔!

今日の夜、焼肉食べ放題行こー」

「俺はいいけど?」

「カイは?」

「行くかバカ!」


海はフンと顔を背けた。

この分だと俺と英玲奈と柚葉かな。


「なんでよ!」

「アタシも最近気をつけてんだよ!」

「バスケしてたら痩せるでしょ!」

「それお前だけ!」


海の言う通りだ。


「柚葉、今日夜焼肉食べ放題行かね?」

「いいよ」

「約束な」

「楽しみにしてる」


球場に着くと柚葉は既にユニフォームに着替え準備万端。

俺と柚葉はグータッチを交わし、笑顔を向け合う。

今日の夜は最高の夜になりそうだ。


「親父」

「オーケーだ」


スタンドにいた親父にウインクすると親父はウインクし返す。

ホントに頼りになる素晴らしい親父だな

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る