第37話 天才には天才を
「このスタメンで一番注意すべきは柚葉だな」
スタメンは以下のとおり
1ー1
PF(パワーフォワード)
相良翔
SF(スモールフォワード)
椎葉英玲奈
PG(ポイントガード)
水野海
C(センター)
前園京
SG(シューティングガード)
薬師寺みなみ
2ー2
PF(パワーフォワード)
柊柚葉
SF(スモールフォワード)
青山周
PG(ポイントガード)
西原瑠偉
C(センター)
九条玲於奈
SG(シューティングガード)
日向朝陽
「っし!」
早速英玲奈が決め、先制。
「英玲奈」
「任された!」
俺は青山からスティールし、英玲奈へ渡す。
柚葉の様子を伺いながら。
「なんかあんの?」
「コピーされる前に取れるだけ取る」
柚葉には信じられないような能力がある。
幸いなのはある程度見ないと出来ないことだろう。
「絶好調だな」
「やられ放題だ」
英玲奈は俺と海がスティールしまくったおかけで4連続得点を決めた。
8ー0
「はぁ」
「来る...!!」
「感じ取れ」
ため息を吐いた瞬間、柚葉の雰囲気が変わる。
俺は青山からスティールし、後ろのケイに出した。
「バカ」
だが、ケイには感じ取れなかったようだ。
ケイは英玲奈に出した。
ーー怪物を起こしちまった。
来るぞ、インフィニティコピー
────────────────────
「瑠偉、アンタはアタシの手足になって」
「英玲奈ちゃん、アタシが行かせないよ」
瑠偉は上手いけど、上手くない。
これじゃ、英玲奈ちゃんレベルとは戦えない。
アタシ、柊柚葉は瑠衣を抜いて、ほんの一瞬だけ油断した英玲奈ちゃんからスティールすることに成功した。
────────────────────
「え?」
なに、今の超高速スティール...
こんなの先輩達でも見たことない。
マジで翔並じゃん...
「翔、止めろ!」
当然、叫んだ声には焦りが含まれてしまう。
────────────────────
「やっぱり、翔か、止めに来るのは」
英玲奈ちゃんに続き、海ちゃんを高速ドライブで抜き、思い切り地面を蹴ると翔が目の前に現れる。
アタシはニヤけながら止まり、シューズで地面をキュッキュッと鳴らす。
ーー良いね、もっとストーカーしてよ、追われるの大好きよ、アタシは。
「リトルの時、世界一バッテリーになったんだ、一番俺が柚葉を知ってるよ」
「あら、嬉しい♡」
アタシがキャッチャーで、翔がピッチャー。
もし、アタシが男子だったら今でもバッテリーを組んでいるだろうと確信出来る。
それほど、アタシと翔のバッテリーは無双していた。
「でも...」
「クソ...」
「アタシは絶対負けん!」
翔の得意技アンクルブレイクで翔を戦闘不能にし、そして...
「女に負けんなよ、男の子」
これまた翔の得意技、超高弾道スリー。
アタシはウインクしてから打ち、尻餅をついたまま悔しそうにする翔の頭をなでなでする。
8ー3
「先輩、やばいね」
「可愛いでしょ」
翔はアタシの対策を取るためだろう。
英玲奈ちゃんにパスを出し、アタシから視線を外さない。
アタシは英玲奈ちゃんと一対一で向かい合う。
「うん、めっちゃ可愛い」
「出来た後輩で嬉しいよ、今度プレゼントあげるね」
「やった」
この会話中も高速フェイントだったり、チェンジオブペースだったりを仕掛けてくる英玲奈ちゃん。
アタシは全部受け止めた。
「英玲奈、こっち!」
「あれ?無視?」
海ちゃんが手を上げ、声を張り上げるが英玲奈ちゃんは視線すら合わせない。
「当たり前ですよ、こんな楽しい勝負譲れないでしょ」
「アスリートだね」
「先輩こそ」
同感、こんな楽しい勝負を他人に譲れるならそいつはアスリートじゃない。
「もたつくな、もたついてたら負けんだろ」
「うわ、めっちゃKY」
おいこら、幼馴染。
そりゃないよ
────────────────────
「クソが」
英玲奈からボールを奪った俺は間髪入れずに高弾道スリーで突き放した。
11ー3。
だが、勝負はこっからだ。
今見てわかった。
今の英玲奈じゃ、柚葉に勝てない。
ーー天才には天才。
クッソたちわりぃ。
でも、そうこなきゃ、俺が好いた女じゃねぇわな
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