ミケくんとけいさつ
みにぱぷる
プロローグ
【7/20(水)の高速新聞!の記事】
大阪 両親留守の間に、幼児が飛び降り
大阪府堺市で14時ごろ、マンションの駐車場で幼児が倒れているという通報があった。救急が駆けつけた時にはもう既に幼児の息はなく、その後、近隣住民の確認により幼児は、木下さくらちゃん(2)だと判明した。警察の捜査により、さくらちゃんはマンションの22階から飛び降りたということがわかっており、両親の木下透(35)さんと木下風香(30)さんが留守の間に開けっぱなしになっていた窓から飛び降りてしまったということだ。二人は買い物で留守にしていたという。
この事件で疑問されるのは当然、両親の子供の監督者としての責任の問題だ。買い物で、犬や猫といったペットを家に置いたまま、ということは珍しくないが、子供、しかもまだ2歳の幼児を放置しておくのは如何なることなのだろうか。木下透さんは、推理作家としても名は知れている。そんな彼は、留守にしていたことに関して問われ、次のように話している。
「娘はとても賢く、我々はとても英才な教育をしており、既に言葉も喋れる段階まで達していました。知能の発達が早いのもわかっており、IQは200を超えると私は見ています。これは確かに感じました。そのため、留守にしても大丈夫だと思ってしまいました。私の管理能力の問題です。しかし、過去にも何度か同じように娘を置いて買い物に行ったことはあるんですが、こんなことは起こりませんでした、窓が開けっぱなしになっていた時もあるのに、です」
この供述にもやはり首を傾けなければならない。言い訳のように見えるこの文章だが、しかし、本当にこれを思って子供を家に置いたまま買い物に出たとなると、今度は別の問題が出てくる。
一部の専門家が語るのが、「常識」の問題だ。人間の子供は弱いため、幼児は親によって守られるべきだという「常識」が無視されたということになる。近年、様々な分野において「常識」に飽きる人間が増加し、「常識外れ」や「型破り」を評価する動きが起こっている。例えばSNSでは、短い動画はTikTokのイメージが強かった中で、YouTubeにShort動画という新しいシステムが追加され、「常識」は崩されつつある。
このような風潮のもとでこの事件が起こったのだとすれば、それは今最も論じるべき問題が発生したといっても過言ではない。つまり、「常識外れ」をすれば新しい可能性が見えてくるということが必ず成り立つものではないと再認識しなければならないのだ。常識を外すことで発生しうる弊害を認識、つまり「常識」の必要性を再確認していかねばならないということだ。
一方でこの事件には「常識」の問題や、「育児の管理」の問題ではない、違った側面がある。というのも、現場は荒らされていたと警察の報告があるのだ。現場にあったものの一部は包丁で切り刻まれていたという。しかし、第三者の侵入があったとは考えずらい。窓の鍵は閉まっていなかったが、家自体は戸締りされていたのだ。これに関しては警察もお手上げで、幼児の自殺と現場が荒らされていたという二つの事実は関係ないのではという意見も多くある。
警察は木下透さんと風香さんによる過失致死の方向で捜査を進めている。
この事件は複数の問題と、謎を孕んだ事件だ。(渡邊理玖)
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