【裏側の世界】秋期

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第1話「赤い空」

通り向こうから誰か歩いてくる…。

金色の髪がさらっとしていて

束ねた軽い後ろ髪が風に靡いていて

月灯りに照らされた姿は儚く美しい。

まるで、雲に影っても夜空を照らす月の様…。


「あら、今日は何のご用事の帰り?」

通りかかった婦人に聞かれる。

「…探偵。」

答えると通り過ぎ様に婦人は、微笑んで軽く会釈をした。


いろいろやってみたらしいが、今はこの職で落ち着いているみたい。

馴染みの店でアパルトマンを借りて、そこの店主が依頼を受けている。

「あ、モァおかえりぃ。」

「ただいま。」

「今日はどうだった?」

「別に、いつもと変わらない。」

「今日、トマ夫婦が来て。

もうすぐ子供が産まれるんだってぇ!

それで何か贈りたいんけど、何がいいかな?」

「…んー?なんだろう?」

楽しそうに話しているのは…大切な人らしい。

誰にも教えない本当のことを知ってる人。

別れが悲しいので、大切な人は作らないようにしてきたのに「必要で、必要とされてしまった」らしい。

淡々と仕事を熟す、毎日に退屈はしてない様に見える。


ベルナール家の依頼を終えて、家路についている途中。いつもの裏道通る。

野良猫が前を横切る。

こちらに気付いて、月灯りで眼がキラリと光る。

暗がりに入って、瞬きをして、1歩進むと知らない道に…。


ーーえ?「ここ」はどこ?

髪の色が変わってる気がする、青?

路地から出ると明るいらしい、眩しい…日が当たってしまいそう。

とりあえず、もう少し進んでみるか。


!?

ーー空が…赤い‼︎

…何が起こってるんだろう?

もう1歩進んでしまったら…嫌だ。

とりあえず今は、動かない方がいい。

夜になるまで座っていよう…。


「ここのメラァとてもヴェルなんだってぇ!」

「ココ、料理も美味しいらしいよ!」

「昼間は、とびきりのヴェルルンがいてさぁ。」

「夜は、いい酒と料理を出してくれるんだってよ!」

「わたし、ジェラァドが食べたぁい!」

「僕も僕も!!」

「〜〜……」

「〜〜……」


「ーー○□◇○〒☆……ぃ」

「ーー☆◆%ぉ…い」


「おい!」

「こんな所で何してるんだ?」

ーー⁇

誰⁈

…いちいち小首傾げてこっちを見るなッ‼︎鬱陶しい。

 いや、少し休憩してただけ。もう行くよ。

「時間ある?

俺。ビストルやってんだけど、ちょっと寄ってかない?」

ーー''ッ。

ぐぃぐぃ来る…しつこいぃ。

気安く触るなっ‼︎

 ありがとう。お腹はすいてないよ、もう行くから。

「待って、待って!!

寄って行ってよ!お願いだから!」

ーー肩を組まれて捕まって、お願いされてしまった。

しかも、花びら舞い散ってそうな笑顔で。

ぐぃぐぃ結構…強引に。

バレなければいいって感じで押してるけど、バレている。

正直こう言う時、対応に困る。

はぁー。

 じゃあ、いただくよ。


「ヴォン・ソワァル。」

 ソワァ。

ーー奥の席に座ってる奴に挨拶されたから返した。

「ソコの席に座って。

…俺はソレイュ、コノ店とココ、シャァ・ェン・ディレリィのメラァだ。

あんた、名前は?観光?この町に住むのか?!」

ーー質問攻めっ‼︎⁈面倒くさい…うぅ…一応、答えとくか…。

 名前は…モア・リシャール。観光じゃない。この街に来たばかり。

「もう住むとこ決まってるのか?!

決まってないなら、ココに住めよっ!!ちょうど4階の部屋があいてるんだ!

ココの住人はいいぞっ!なんたって俺の飯つきだしさっ!」

ーーそんな得意げに言われても…。

「ソレイュちゃん、やめときなョ!そんな得体の知れない奴っ!」

ーーなんだ。こいつ、何様?

「コイツはココの常連でコメットな!」

ーーなんか睨まれた。

「ぃいや、俺がいいって言ってるんだ。

 なッ、モアいいだろ?職探しも手伝うしぃ。」

ーー…そんな上眼遣いでに見つめられても…。

欲しい物を褹だる時の女か。

うぅ……悪くもないかも知れない。

この男のおかげで「狩り」し放題だろうし…。

でも、そんな安意に決めた事がないからわからない。

……まぁいいか、行く当てもないし。

 じゃあ、お願いしようかな。

「わぁい!やったぁ!さっそく鍵、渡すなぁ!」

ーー隣の奴、すごくむすっとしてる…面倒くさい。

「何、むくれてるんだ?コメット?たまに会うだろうし、仲良くしろよぉ!

とりあえず、カフィか…ティアの方がよかったりするか?」

 え?なんで?

ーーカフィはカフェで、ティアは紅茶だろう。

「なんとなく、お前はティアが似合う気がして。」

ーー今まで好みは、どちらか言えば紅茶。

でも、言い当てられたことがないので、驚いた。

「まぁ、飲んで。ゆっくりしてって!」

 ありがとう。


「この街の前はどこにいたんだ?」

 この国からは出た事がない。

ーー嘘。

1つの所には長くいれないから飛び回ってる。

「前は何の仕事だったんだ?」

 …探偵。

ーー嘘。 

いろいろしてる。

「何ソレ!怪しい仕事ッ!?」

ーーはぁ⁈一応、人間助けてるんだけど⁈

人探しとか人命救助とかしてるんだけどッ⁈

「なんでぇ!?かっこいいじゃん!…主になにするんだ?」 

 人探しとか情報集め??後は…簡単な治療だったら出来る。

ーー嘘。

他にもできる事はなんだってする。

「チリョゥ?なんだソレ??」

ーー通じないか…面倒くさいな。

 怪我や病気を治す。

「すっげぇ〜ッ!仕事を管理してるゴロゥプみたいなのあるのか?」

 ?…命令されるなんてあり得ないし、事務所は構えるのが面倒だし、住んでる所の家主に受付を頼んでた。

「なるほどぉ…」

ーーこのティー、フレーバーは何だろう⁇

!?

…香りも味しない⁈

どうなってんの⁈

「モア…??」

 なんでもない。ちょっと思い出したことがあっただけ。

ーー嘘。

驚き過ぎて硬ってた。

でも、今は考えても仕方ない。

部屋でゆっくり考えよう。

「ソレイュちゃん質問してばかりじゃ、可哀想ォ。」

「そうだな。まぁ、この店にはいろんなお客がくるし。

新しい場所で改めて頑張ろぉぜ!!」

ーーにかっと笑顔を向けられる。

今は、それ所じゃない。


「部屋に行くのか?

部屋が決まった記念に何か、用意しとく!!

モアの部屋は、店を出て右の路地に入ってヴェルト・フォ・シィの扉の先のエスカリィ・コルマンを登って4階だ。」

 あぁ、ありがとう。

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