第29話 突撃っ!! サプライズゲスト!!
コラボ配信開始から約1時間半。
俺達の配信は上々の感触で進行している。
…ちなみに、俺の顔だけ映っているのが不安だった俺は夜の王都を散歩しながら配信している。
「え、お兄ちゃん歩きながら配信してるの? まあ、いいや。はい、次の質問はこちらっ‼」
〘Vtuberになったキッカケは何ですか?〙
「…これはお兄ちゃんが答えた方がいいかも。私の回答は3日前の配信で話してます‼ まだ見てない人は、そっちを見てね‼ まあ、あの配信回は結構恥ずかしい事言ってるけど」
「こういう話って気恥ずかしい内容になりがちだよね。俺がVtuberになろうと思った理由としては…まあ、活動してる人達が楽しそうにしてたってのと、あとは配信者と視聴者さんの一体感が羨ましかったから、かな?」
「どういうこと?」
「うーん…言葉で表現するのは難しいんだけど、“配信”ってさ普通なら出会うはずもない色んな人たちが、その瞬間は同じ場所に集まって、同じ時間を共有できる場所だと思うんだよね。Vtuberって、現実であって、でも、非現実でもある存在で、どうしようもなく現実を生きている俺達視聴者を一種の非現実に連れてってくれると思ったんだ。」
「うん」
「そんな場所である配信に皆で集まって、その時だけでも癒されて、楽しいって感じて、それで、みんなちょっとだけ前向きな気持ちでそれぞれの現実に戻っていく。そんな魔法みたいなことができるVtuberさん達を凄いって思って、それで憧れだけで始めてみたって感じ」
「…思ってた100倍は真面目な回答が返ってきた」
「まあ、あとはAsariママが友達だったってのも大きいかな」
【超人気絵師と友達なのは強すぎるwww】
【Vtuberってなるまでの準備が一番大変だもんな】
【えっへん】@Asari
【これはAsariママが褒められるべき】
【嬉しそうで草】
【俺もそんな友達が欲しい人生だった…】
「それはそうかも。お兄ちゃんは本当に現実じゃない場所に行っちゃった訳だけど。そこに関してはどう思ってますか?」
「…耳が痛いばかりです。でも、異世界に行ってなければバズることも無かっただろうし、妹がVtuberやってるなんて知らなかっただろうから、このコラボも実現しなかったわけで」
「たしかに‼ おかげで私も新しいお友達が出来たし」
「新しい友達?」
「はい、ということで登場してもらいましょう‼ 本日のサプライズゲストにして、異世界の皇女様、シーナちゃんです‼」
「皆さま初めまして、シーナ・オルディネと申します」
【ええええええ!!!!】
【マジで? 声しか聞こえないけど、シーナちゃん!!】
【シーナちゃん!!】@夢空ハル
【これはサプライズすぎるwww】
【夢空、完全に固まっちゃってる笑】
【この反応的にマジのサプライズっぽいな】
【でも、なんでマリアちゃんがシーナちゃんと友達になってるんだ?】
「…え? シーナ? なんで?」
「あははっ、お兄ちゃん混乱してる‼ やったね、シーナちゃん‼ ドッキリ成功だよ‼」
「やりました‼ ハル、驚きましたか?」
「いや、驚いたというか、まだ理解できてないんだけど…」
「実は、お兄ちゃんとディスコができるようになったタイミングでシーナちゃんともディスコ通話できるようになってました‼ シーナちゃんがお部屋にいる時だけだけど、こっちの配信ではシーナちゃんのお顔も映ってます‼ お兄ちゃんの視聴者はこっちに来た方がいいんじゃない?」
【今すぐ移動します】@夢空ハル
【スタッフ君、職務放棄してて草】
【マジか、移動しよ】
【マリアちゃんとこのコメント欄凄いことになってるぞ】
【そりゃ、あのレベルの美少女出てきたらそうなるだろ】
【なんかマリアちゃんとシーナちゃんが仲良いの、いいな。声優さんと女優さんが仲良いみたいな】
【↑何となく分かる】
「俺から同接を奪わないでっ!? てか、スタッフぅ‼ お前だけはこっちに残れよ‼ なにイの一番にそっちに行こうとしてんだよ‼」
「みんなシーナちゃんの可愛さには勝てないのだよ‼ 私の視聴者さん達なんて、シーナちゃん初見の人が多いからコメント欄が大盛り上がりだよ‼」
「マリア、恥ずかしいです…」
「照れてるシーナちゃんも可愛いよ‼」
「クッソ、俺を置き去りにして盛り上がりやがって‼ いいもん、一番最初にシーナと友達になったのは俺だし、普段から一緒に配信してるのも俺だし‼」
【兄妹で取り合いしてて草】
【妹は妹で容赦ないし、兄は兄で情けない笑】
【完全に”私のために争わないで”状態】
【マジで同接数減ってて草なんだが】
【シーナちゃん効果、恐るべし】
【#急募:臨時モデレーター】@夢空ハル
【スタッフ君…】
「ハル? マリア? 喧嘩はダメですよ?」
「「もちろん‼」」
「うふふ、息ぴったりですね。やっぱり兄妹仲良しが一番です‼」
「…お兄ちゃん、この皇女様、可愛すぎない?」
「いや、完全に同意だわ。俺のなかでシーナはしのっちとほぼ同じ扱いだからね?」
「ということはハルがお兄様でマリアとは姉妹になるのですね‼ そう言えばハル? 私とマリアは同じ誕生日なんですよ‼ 歳も同じなので、双子ですね」
「シーナちゃんと双子…‼ 身に余る光栄です…‼」
【マジか!!】
【それは凄い偶然!!】
【生年月日一致は凄いわ】
【推しと生年月日被るとか普通に羨ましい】
【マリアちゃんwww】
「さっきから妹が限界オタクになってるんだが。まあ、シーナがカワイイのは分かるけど」
「シーナちゃんの前だと皆こうなるでしょ‼ コメント欄なんてずっと阿鼻叫喚なんだから‼ なに、お兄ちゃんはそうならないってこと? カッコつけてるの?」
「いや、なんで喧嘩腰なんだよ…」
「そう言えば配信でカッコつけたこと言ってたよね~。なんだっけ、えーっと…」
「あーーーー‼ 言わないで‼ あれ散々イジられたから‼ 掘り返さないで‼」
「…もしかして教会の夜のことですか? あの夜はとっても楽しかったです‼」
【は?】
【夢空…見損なったぞ】
【これは燃やさねば…!!】
【夢空、許すまじ】@夢空ハル
【#夢空ハルを許すな】
【ハルくん、これは擁護できないよ】@Asari
【山が動いたな】
「シーナさん!? その発言は誤解を招くから…‼ まって、若干コメ欄が荒れ始めている‼ 違うんだ‼ 何にもやましい事なんてないんだ‼ 信じてくれ…」
「あはははは‼ 燃やせ、燃やせ~‼ 火炎瓶を用意しろー‼」
「あかん、身内に燃やし尽くされる…」
「まあ冗談はこの辺にして、シーナちゃんの勇姿はお兄ちゃんのチャンネルで見れます‼ みんなチャンネル登録してあげてねっ‼」
「よろしくお願いいたします‼」
「シーナちゃんにお願いされたら従うしかないよねえ‼」
【登録済みです!!】
【これは登録不可避】
【良かったな夢空!! HPが増えるぞ!!】
【ガチで何人増えるか気になる】
【アーカイブも回るぞww】
「…なんでうちの妹は自分とこの視聴者まで煽ってんだ? いや、ありがたいんだけどさ…」
「それじゃあ、ラストスパートってことでシーナちゃんも混じって質問返ししていくよ‼」
「はい、頑張ります‼」
「うん、今日もカワイイ‼」
かくして俺達のコラボ配信は大盛況のうちに終わった。
シーナ登場というサプライズもありつつ、夢空ハルと東雲マリアの関係も印象に残せたと思う。
こっちの世界に来てから1ヶ月も経っていないが、それなりに楽しくやれている。少なくとも、志真やシーナが笑っているのだけで、ここに来た意味があったのかもしれない。
いつか、この思い出に乾杯できるように、進んでいこう。
【夢空ハルChannel】
『【リアル妹コラボ】妹が超大手企業Vだった件#東雲マリア【異世界V】』
最大同接︰50,586
高評価数︰10,928
登録者数:38,251(+18,395)
(第1章「東雲マリアは公国皇女の夢を見る」完)
ーーーーーーーーーーーーーーーーあとがきーーーーーーーーーーーーーーーー
これにて第1章は完結です!!
ここまで楽しんで頂けたでしょうか?
楽しんで頂けた方は作品ページ下部の★★★で評価して頂けると幸いです‼
もちろん、感想もお待ちしています‼ コメント感覚で気軽にご意見下さい。
あと、今更ですがXやってます‼
ほとんど稼働してないですが、今後はアンケート等で皆さんの意見を作品に反映していけたらと思っています。良ければフォローをお願いします‼
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