第1話 原因とこれからの事

「で、俺はそのせいで死んだと。それでお詫びをしたいって事で、ここに呼んだんだな」


『そうです。誠に申し訳ございませんでした』


 今俺の前で、若い男、もとい神と名乗る人物が土下座をしている。


 数分前まで慌てていた俺だったが、椅子に座らずに質問ばかりしていると、神が再び手を上げ。その途端俺の体が勝手に動き、俺は強制的に椅子に座ることに。そしてこれまた無理矢理にお茶を飲ませられたんだが。


 お茶を飲むと何故か急に心が落ち着き始め、お茶を飲み終わる頃には平静を取り戻すことに。そして落ち着いたところで、俺は再び今度はゆっくりと、神に質問をすることになった。


 が、先ず若い男が誰なのか聞けは、胸を張ってひと言。『僕は神だ!!』と言われ。そんな嘘はどうでも良いから、本当に誰なんだと聞き返せば。いきなりたくさんの情報が俺の頭に流れ込んできた。


 世界が生まれた頃のこと、地球のこと、地球とは違う別の世界のこと、そこに住んでいる全ての生き物のこと、どのような生活を皆が送っているかなど。

 本当に色々な情報で、あれだけの情報を1度に見せられても、ほとんど理解することなく終わったが。それでもその情報が流れるのが終われば。理由は分からないが、この若い男が本当に神なのだと、何故か納得した俺がいた。


 俺が納得したのを確認すると、神は話すことが沢山あると、そしてこれからについて決めなければいけないと、そう言ってきたけど。話しをする前に神は俺に土下座をし。それからそのまま土下座の格好で、俺に話しをしてきた。それが今の状態だ。


 最初に土下座された時は何かと思ったが、理由を聞けば、まぁ土下座だろうなと。まさか俺の身に、小説のような出来事が起きたとは思ってもみなかった。俺は神の手違いで、一生を終えていたんだ。

 

 しかし最初は、死んだと言われても実感がなく、しかも今の俺の状態は何も問題がなかったから、そんな嘘つくなと言ったんだけど。また頭の中に、ある出来事が流れ込んでくると、俺は全てを思い出すことに。

 そう俺はあの時、仕事で外回り中に、どこからか突然、車が突っ込んできて、その車に子供が轢かれそうに。だから俺はその子供を守ろうと飛び出し、そして俺はそのまま……。


 が、ここである事実が。本来ならその事故では誰も死ぬことはなく。怪我はするものの、子供も俺も無事にその後の人生を送る予定になっていたらしい。しかし、ここで神がドジった。


 俺の魂が体から抜けそうになるのを察知した神。この時、半分ほど魂が抜け出していたらしいんだが。神は急いで急いで俺の所へ来て、魂を戻そうとしたが失敗したと。

 車に轢かれた事で、もともと魂は抜けやすくなっていたんだが。それを神が間違えて、戻すんじゃなく、最後の一撃を加えてくれたおかげで、俺の魂は体から離れることに。


 そう、俺は神にトドメを刺されたのだ。神のドジによって一生を終えた俺。何で俺がこんな目に。と、最初は考えていたが、この事実が覆るわけもなく。少しすればあの落ち着くお茶の影響なのか、また心が落ち着き始め。


 俺が再び落ち着くと、これからの事について、神が土下座したまま、話しを再開した。


「で、そのお詫びっていうのは?」


『君には2つの道が用意されているよ』


「2つ? それには地球に戻るっていうのも含まれているのか?」


 俺は子供の頃に両親を亡くし、俺を育ててくれた爺ちゃんと婆ちゃんも、もうこの世にはいないため、俺がいなくなっても泣く人達はいないだろうが。それでももし、地球に戻れるのなら、戻れれば良いと思った。


『それはちょっと。1度生きた世界から離れると、その世界に戻ることはできないんだ。人々の記憶が混乱するといけないからね』


「そうか」


 なら仕方がない。今考えていたように、別に俺がいなくなって泣くような家族も恋人もいないからな。別に良いだろう。


「じゃあ、その2つっていうのは?」


『1つはこのまま、君達が天国って呼んでいる場所へ行って、新しい世界へ生まれ変わるのを待つか。これについては何年後っていうのは、その時々で変わってくるから、正確にいつとは言えないんだけど。もしかしたらすぐかもしれないし、何年か先になるかもしれない』


「なるほど。で、もう1つは?」


『僕の権限で、地球じゃない新しい世界に、すぐに生まれ変わるか。その場合、君は今の記憶を引き継いだまま、新しい世界で、新しい人生をスタートする事になる』


「記憶を持ったまま?」


『そう。だからその分生活はしやすくなるはずだよ。まぁ、世界によって、多少違いはあるけれど、何もないよりはね』


「あ~、簡単に言えば、自然に任せるか、それとも新しい世界に転生るす? って感じか?」


『そういう感じ』


 まさか小説の出だしと同じような出来事が、俺の身に起こるとは。自然に任せるか、それとも転生か。


「自然に任せた場合、記憶は?」


『その場合、記憶の引き継ぎはないよ。あくまでもその時の自然な流れでの生まれ変わりになるからね。何も記憶がないまま、新しい人生を送る事になる。あっ、ちなみにもし転生を希望した場合、色々と特典をつけるよ。まぁ、自然に任せる時にも、お詫びに付けようとは思っていたんだけど。すぐに新しい生活を送るのであれば、生きやすいように、さらに特典を付けようと思っていたんだ』


 特典? 神のせいなのだから、それは特典ではなく、それもお詫びに含まれるのでは? そう思いながら、俺はこれからの事を考える事になった。


*********


20時、もう1話更新します。よろしくお願いします。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る