夕立を連れてきたキミが虹のかなたへ消えてしまうまでに

犬上義彦

第1章 カイト(1-1)

 その出会いは突然だった。

 天気雨みたいに何の前触れもなく現れたキミは、虹のようにキラキラとこの世界を彩り、そして手を伸ばそうとした時には跡形もなく消えてしまっていた。

 あれほどくっきりとした記憶なのに、それは思い出そうとすればするほど霞んでいく。

 だから、その手を絶対に離したくなかったんだ。

 キミのかけた魔法が解けてしまうまでは。

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