🎬ある男(邦画)

🎬原作は平野啓一郎による小説。第70回読売文学賞受賞で妻夫木聡主演で実写化された。2022年に公開された本作の上映時間は約二時間だが、主演の妻夫木がなかなか顔を見せず、登場はジャケットで見た顔は勘違いだったのかと思い始めた頃である。


🎬そこで物語の展開が変わったかの雰囲気が漂う。いわゆるプロローグ的な空気だ。そこまでを窪田正孝がただならぬ気配で見ている側を画面に引き寄せてくれる。特に恋愛に発展する過程は切なくも微笑ましくも映る。ただ、本作の奥深さがスタートするのはここからで、謎めいた展開にグイグイ引き込まれていくのを感じる。


🎬さすがと思ったのは名わき役の柄本明だろう。出番は少なめだが、その短い時間でも軟な主役は食うぞという圧倒的な存在感が光る。このあたりはさすがというしかない。徐々に明らかになっていくことで揺れ動く家族の心情。一見地味にも見える映画ではあるが、その訴える力は凄まじい。

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