開かない避難所

 街灯を片付け終わり、初めて気付く。こんなことをしている場合なのかと……。


 後は冷静な判断や正しい対応が出来たかは分からない。ただ、早く家族へと連絡する必要を感じ、電話で伝えたことは3つ。


 1つ目は、避難所の学校に来てもグラウンドに人が集まり、校舎の中には入れていないこと。


 2つ目は、家屋の倒壊は見られないが、街灯は倒れている。外に出るにしても、街灯には近付いてはいけないこと。


 3つ目は、私が避難所で情報を得て連絡するまで、家で待機すること。


 それだけを伝えて、避難所である学校の正面玄関へと向かう。やはり学校の入口は、どこもが閉まっている。グラウンド以外にも避難してきた人がいて、非常階段を登っている。

 でも3階までしかない非常階段に、全員が上がれる訳ではなく、下には人が溢れている。足の悪いお年寄りは階段に近寄ろうとはせず、離れた場所で様子を見ている。


 この状況は、良いのだろうか?


 でも、悩むこと自体が時間の無駄でしかなかった。最悪の場合は、学校のガラスなんて割ってしまえばいい。それならば、家で待つよりは避難所の学校に居た方が安全だと。


 だから、私はすぐに家に電話をした。避難してきている人も増えている。学校の方が安全だと!

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