有希江の死

鷹山トシキ

第1話

 有希江が令和5年の正月大震災の直後、自殺をしました。彼女を死に追い込んだのは菊池邦子の他に2人いました。

 自殺の背後には、有希江を死に追い込んだ要因として、菊池邦子以外にも2人の影が浮かび上がります。一人は藤原悠一の元ビジネスパートナーの白見純生しらみすみおで、彼が不正行為に手を染めていたことを知り、企業スキャンダルを防ぐために有希江を追い詰めた者でした。もう一人は藤原家の過去の闇に関与し、その事実が明るみに出ることで己の地位や名誉を守るため、有希江を追い詰めた人物、関谷空男せきやそらおでした。


 有希江の自殺は、複雑な人間関係と過去の不正行為が絡み合った結果であり、事件の真相がますます深まります。


 2月1日、その邦子、白見、関谷の3人に殺人予告が届く。3人は宝田劇団が開催する演劇の舞台上で関谷が殺され、白見も斬られて殺され首が邦子に届く。しかも、関谷殺しは衆人環視の中での不可能な状況下で行われた。

 

 3人に届いた殺人予告に激しく動揺しながらも、舞台裏では宝田劇団のメンバーが事件を追及し始めます。舞台上で関谷が殺害されるシーンは、まるで実際の殺人と見紛うほどのリアリティを持っていました。


 邦子、白見、関谷の三人は舞台袖で緊張感漂う中、予告の内容が次々と現実のものとなる様子に戸惑いつつも、その真相解明に向けて協力し始めます。舞台上での殺人は不可能と思われる状況で発生したため、彼らは舞台演出や仕掛けなどを徹底的に調査し、事件の背後に潜む複雑な仕掛けに気づいていくでしょう。

 

 事件の舞台裏で糸が解けていく中、宝田劇団のメンバーと邦子、白見、関谷は共同で真相解明に挑みます。しかし、彼らはますます深まる謎に直面し、次第に過去の因縁や暗躍する影が明らかになります。


 舞台上の殺人予告を追い詰める中、邦子はかつての過去と関わりの深い出来事に直面し、彼女の心にも揺れ動きが生じます。同時に、白見と関谷の死は藤原家の闇に関連しており、その真相はますます複雑に絡み合っていくのです。


 探偵の松岡刑事も再び事件に巻き込まれ、新たな手がかりを求めて動き始めます。読者は舞台裏で繰り広げられる複雑な人間ドラマと、仕掛けられた罠にどっぷりと引き込まれながら、真相の解明を期待することでしょう。

 

 「残ってるのは私だけ……嫌になっちゃうわ」

 邦子は有希江の亡霊に怯えた。

 

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