星導士ソルの災難

チン・コロッテ

彼の名前は——

プロローグ

 人は、星より零れ落ちて生まれ、死んでまた星に還る——。


 

 それがこの世のことわり。故に、この世界の人々は誰しも"星の加護"を受けている。自分を護る星のことを守護星と呼んだ。守護星は常に側にあり、常に自分を導く為に語り掛け、自分を護るために力を与えてくれている。



 しかし、そんな守護星の声に気付ける者は少なく、守護星の"加護"を利用できる者はもっと少ない。



 そのため、星の声を聴き、"加護"を力として用いる事ができる、特異な者を人々は〈星導士〉と呼んだ。

 

 そして、そんな彼等の使う特異な術を〈星導術〉と呼んだ。



 かつては、星の力を借りた占星により国政を占うに留まった星導士たちの役割も、今日こんにちに至っては、その特異なる力は多岐に用いられる。


 人々の生活を豊かにするため、占星を生業とする者もいれば、星の輝きを人々に分け与え照明を齎す者もいる。


 しかし、その主たる生業は、戦闘力を必要とされる職に集中した。それは、兵士や傭兵、自衛組織などで、時に人を殺す為に用いられた。



 これはそんな星導士達の中でも、特異なる守護星——北と南の空で一際大きな輝きを放つ星"極星"の加護を受ける二人の少年の話である。

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