くつろぎ君はコーヒーがキライじゃない!

はいじ

プロローグ:くつろぎ君のうそ



 失敗する大人が見たかった。


 取り返しのつかない失敗をした大人が、人生に絶望する横顔を、隣で見てみたかった。


 バカで、本質を何も理解していない愚かな大人が派手に倒れる様を、興味深く、他人事として観察したかった。


 だって、俺は失敗しないから。

 だから、一度くらい失敗してみたくなった。


 でも、そんな事を言われたって実際に失敗するのは嫌だ。

 そりゃあそうだ。それに、俺には何を選べば失敗するのか分かってしまう。失敗すると分かっていて、その選択肢を選ぶなんて無理だ。


 だから、思った。

 失敗する人間が見たい、と。


 失敗する人間の真横で、他人事に少しの臨場感を足したような視点で。

 あたかも自分が失敗したかのような立ち位置で。



 そんな時だった。



 〝あの店〟を見つけたのは。




【くつろぎ君はコーヒーがキライじゃない!】




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る