第27話  〇と×

ネズミ「やぁ、ウサギくん」


ウサギ「やぁ、ネズミくん。大きな選挙が終わってやっと静かになったね」


ネズミ「おやウサギくん、選挙に興味があったの?」


ウサギ「興味というか、選挙カーが朝早くから夜遅くまでうるさかったからね」


ネズミ「やっぱりウサギくんの関心はそっちなんだね」


ウサギ「だってその所為せいで僕は寝不足なんだよ」


ネズミ「そうか~ 

 君には選挙権が無いから関心がなくて当然かもね」


ウサギ「・・・・(自分だって無いくせに!)」


ネズミ「でもこれで静かになるかは分からないよ」


ウサギ「何で?」


ネズミ「出先で見たテレビでさ、今回の選挙結果で大きな混乱が起こるかも知れない、ってかなり騒いでいるんだよ」


ウサギ「ふ~ん、そうなんだ!

 選挙って大変なんだね」


ネズミ「まぁ、ウサギくんにもそのうち分かるようになるさ」


ウサギ「本当にいつも上から目線だよね」


ネズミ「仕方ないだろ!それが俺と君の立場ってもんだよ」


ウサギ「喧嘩を売りに来たのなら、買ってもいいよ!」


ネズミ「あれまぁ!怒ってる?」


ウサギ「一寸ね」


ネズミ「俺と君の仲だろ!

 そんなにムキになるなよ」


ウサギ「いつものことだから、分かっているけどね」


ネズミ「ウサギくんも成長したね~」


ウサギ「ところで、今日は何をしに来たのさ!?」


ネズミ「クイズで遊ぼうと思ったんだよ」


ウサギ「クイズ!? 面白そうだね!」


ネズミ「答えられなくっても泣かないでよ!」


ウサギ「大丈夫だよ。そこはちゃんとわきまえているから」


ネズミ「そうだね。ウサギくんはいい子だからね」


ウサギ「早く問題、出してみてよ」


ネズミ「おお!やる気満々だね」


ウサギ「そんなことはいいから!」


ネズミ「では〇か×で答えて。

 第一問 ウサギくんが住んでいるところは日本である」


ウサギ「〇」


ネズミ「正解、よく分かったね」


ウサギ「今のは簡単すぎだよ」


ネズミ「ほ~、大した自信だね」


ウサギ「次のクイズは!」


ネズミ「じゃぁいくよ! これは一寸難しいかな~

 第2問 太陽は地球の周りを回っている」


ウサギ「×」


ネズミ「正解、凄いね!よく知ってたね」


ウサギ「地動説が正しいんだよね」


ネズミ「また太郎くんの受け売だね」


ウサギ「勿論そうだよ」


ネズミ「俺の次に太郎くんの影響は大きいね」


ウサギ「俺の次ね~!?」


ネズミ「当然だろ!」


ウサギ「次は!」


ネズミ「これは更に難しいよ。

 第3問 俺は最低でも後10年は生きる」


ウサギ「??????」


ネズミ「答えは!」


ウサギ「こんなの、答えられる訳がないよ」


ネズミ「こういったクイズにはお世辞で〇にするんだよ」


ウサギ「だって正解かも知れないけど、間違いかも知れないじゃない」


ネズミ「俺は正解だと思っているよ。長生きの手相だからね」


ウサギ「手相で決めるの?」


ネズミ「だってそれを信じたいじゃないか」


ウサギ「確かに信じたほうが気は楽になるよね」


ネズミ「だろ!」


ウサギ「でも手相が短命の人(ネズミ)はどう考えたらいい?」


ネズミ「それは~

 手相が間違いだって思えばいいんじゃない!」


ウサギ「こういうのはクイズに適さないと思うんだけど・・・」


ネズミ「いや!そんなことはないさ」


ウサギ「何で?」


ネズミ「このクイズを通して、俺は長生きだってことをしっかり自覚したいんだよ」


ウサギ「そんなの自分で勝手にそう思えば、それでいいんじゃない!」


ネズミ「それはそうなんだけどさ~」


ウサギ「でも、気持ちは理解してあげるよ!」


ネズミ「そ~か~!?

 やっぱりこのクイズは失敗だったかな」


ウサギ「あれ! めずらし~

 自分の間違いを認めた!」


ネズミ「俺は引き際がいいからね。

 今度はもっといいクイズを考えて来るよ」


ウサギ「後ろ姿が一寸しょぼくれてる。

 でも本当に今日のネズミくんはどうしたんだろ!

 自分の間違いを認めるなんて・・・

 それにしても世の中にはどんなに間違っていてもそれを認めないで居座っている人もいるし、逆切れする人もいるよね。

 ネズミくん、信じがたいけど、成長してるんだな~」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る