国防軍
この国の防衛隊は一番隊から二十番までの部隊に分けられている。
一番隊から四番隊までは貴族や士族など身分の高い者と護衛力の高い魔法使いや技術士官が所属している。一番隊から四番隊の者は直接戦闘に参加することはなく、安全が確認された場合のみ戦場へと足を運ぶ。防衛能力という点においては世界でも最高の戦力と呼んで間違いないのだが、自分から仕掛けることは絶対にないので攻撃能力に関しては五番隊以降の方が高いと思われる。
五番隊から八番隊が実質的にこの国の戦力として機能している。『うまな式魔法術』が発表されるまでは彼らがこの国の防衛を一手に担っていたのだが、『うまな式魔法術』が発表されてからは防衛だけではなく積極的に魔物を駆除していく行動に打って出たのである。おそらく、世界で一番『うまな式魔法術』の恩恵を受けている部隊であろう。
九番隊と十番隊は主に諜報活動を行っていた。今では索敵班として活動することが多く、外敵を即座に発見し捕獲又は駆除を行っている。その対象は魔物だけではないのだが、それを知る者はほとんど存在しない。
十一番隊から十六番隊までは他の隊に欠員が出た際の補充要員や補助要員として訓練を重ねている。その実力はそこまで高くはないが日々の訓練による連携によって上位の隊員よりも功績をあげる者も少なくはない。その中でも戦闘能力に秀でたものは上位の部隊に転属することがあるのだが、攻撃思考が高いものは一番隊から四番隊に配属されることはない。
十七番隊は治療や補給に特化した部隊である。戦闘能力はそこまで特筆すべきものはないのだが、隊員一人一人の治癒能力は高く生きてさえいればどんな怪我でも完治させることが出来る。ただ、その能力ゆえに一番隊から四番隊と行動を共にすることがほとんどであり、五番隊以降の隊員の治療を行うことは極稀にある程度のものであった。
十八番隊は土木復興作業を行う部隊である。もちろん戦闘能力も高いので実戦に参加することもあるのだが、真価を発揮するのは戦闘後に荒廃した土地をより快適な物へと復興させることである。戦場で輝く部隊よりも市民にとって身近な存在であるため憧れるモノも多く、戦闘では貢献できないと考える魔法使いの多くが十八番隊に志願することが多い。
十九番隊は一番隊から十八番隊に入ることが出来なかったものが集う出来損ないの集団である。魔法を使えること自体がエリートであると言えるのにもかかわらず、素行の悪さから主力部隊から追い出されたものや戦闘員としての実力の伴っていない魔法を使えるだけの者がたどり着く場所である。人数だけは他の部隊と比べて異常に多いのだが、数が多いだけで実践ではほとんど役に立つことはなかった。それでも、魔法使いがいると事実が魔物にとっても外敵にとっても抑止力となるのでそれなりの存在価値はあるのであった。その部隊の性質上隊員の数は一番隊から十八番隊を足した数よりも多くなってしまっている。
十九番隊は唯一隊長が存在しない部隊である。無数に存在する副隊長が三人から百人程度の部隊を勝手にまとめていたことがあり、それを流用して現在は正式に副隊長として任命されたものが部下を率いる形となっている。ちなみに、毎年優秀な魔法使いに十九番隊隊長の要請が出ているが誰一人としてそれを受ける者はいなかった。
二十番隊は怪我や病気で戦闘に参加できないものが集まる場所となっている。本来であればそういった者たちは十七番隊の手で治療されることが望ましいのだが、弱いものをいくら治療しても無駄だという事もあってリハビリの場として機能していた。ただ、『うまな式魔法術』が広まったことで回復魔法を使えるものも増えたことによって怪我や病気の治療も進み、本来十七番隊が行うはずだった機能が二十番隊によって行われているという事になっていた。しかし、十七番隊と比べて練度の低い回復魔法であることもあり即座に実戦に復帰するというのは難しい話であった。
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