第六十五話 新しい司祭さんと話をします
「いやあ、流石はレオ君だ。的確且つ素早い治療だね」
ここで僕に声をかけてきたのは副団長さんです。
あっ、あの事を謝らないと。
「副団長さん、ごめんなさい。教会に来た人を勝手に治療しちゃって」
「はは、そんな事を気にしていたのか。レオ君は教会で依頼を受けて治療もしているし、しかも今回は緊急事態だ。何も問題はないよ」
良かった。
勝手な事をして、怒られるかなと思っちゃったんだ。
そして、司祭さんが僕の所にやってきました。
「正に、無償の愛を体現している素晴らしい行為じゃ。それを、こんなにも幼い子どもが行ったのだ。儂はこの素晴らしい行為を見ただけでも、このセルカーク直轄地に赴いた価値があると感じておる」
「わわわ」
あの、司祭さんが僕の手を取って感涙が止まらない状態なんですけど。
しかも僕の周りに他のシスターも集まってきて、同じく涙が止まらないんですけど。
えっと、僕はどうすれば良いのでしょうか?
「司祭様、レオ君が戸惑っております。一度落ち着いた状態で話された方が良いですよ」
「おお、儂とした事が、年甲斐もなく興奮してしまった。すまんのう」
「いえいえ、僕は大丈夫ですから」
副団長さんが司祭さんを落ち着かせてくれたので、とっても助かりました。
折角なので、このまま教会内で他の人がいる状態で話をする事になりました。
「改めて、この度セルカーク直轄地に赴任したシルバ司祭じゃ」
「司祭さん、僕はレオです。宜しくお願いします」
「幼いのにしっかりとした挨拶で、とても感心じゃ」
司祭さんに挨拶をすると、僕の頭をニコニコしながら撫でてきました。
「そして、教会関係者がとんでもない事をした。こんな幼い子を誘拐して暴行するなんて、お詫びのしようもないぞ」
「司祭さん、頭を上げてください。僕はもう大丈夫ですから」
あの誘拐事件の事で司祭さんが僕に謝ってきたけど、もう決着した事だしもう大丈夫です。
司祭さんに頭を上げて貰って、話を再開します。
「正直に言うと、先程のレオ君の治療を見ているととても高度な事をしている。儂らは魔法使いではないのでそこまで高度な事はできないが、ポーションや生薬を組み合わせた治療は可能だ。そこで、レオ君にはこの街でどんな症状が多いかを教えて欲しいのじゃ」
今いる教会の陣容だと、魔法は使える人はいても回復魔法は使えないんだって。
でも、長年の知識で様々な生薬を使って治療できるんだって。
僕としては、魔法よりも生薬を使える知識の方が凄いと思うな。
今度の教会の治療の時に、僕の知っている情報を伝える事になりました。
「もう少ししたら、レオ君も普通の冒険者生活に戻れるだろう。まあ、レオ君は保護されて間もないと聞くしまだ幼いからできる仕事が限られるだろうな」
「はい、僕の場合は薬草採取と魔法を使った治療とポーション作りしかできません。まだ体が小さいので、普通の冒険者みたいな仕事はできないので」
「ほほほ、こればかりはしょうがない。だが、その年で三つも仕事ができるのは素晴らしい事じゃ。それに、その三つの仕事はどこに行っても需要がある。レオ君なら、きっとこの先も大丈夫じゃ」
おお、流石は司祭さんだ。
僕はまだ三つしか仕事ができないと思っていたけど、三つも仕事ができるって考えるのはとっても素敵だね。
それに正直なところお金は大分溜まってきて、前みたいに何もない状態じゃなくなったんだよね。
「レオ君の人生は始まったばかりじゃ。これからの人生をどう生きるのも自分の自由で自分の責任になる。色々あると思うが、頑張るのじゃよ」
「はい、ありがとうございます」
僕の人生、か。
今まで自分の事で精一杯だったから、あんまり考えた事は無かったよ。
こうして、司祭さんとの面会も無事に終わりました。
流石は司祭さんだけあって、とっても良い話が聞けたよ。
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