May be Black - 友人Fの本懐 -

星賀 勇一郎

プロローグ 





二〇〇六年。


こう書いてしまうとかなり前の話に聞こえる。

当時、私はビジネスマンとして活動していた。


小さな企業であったが、日々、「社長、社長」と呼ばれながら、IT業界の行く末を毎日考える、そんな時代を送っていた。


当時は、SNSもまだ盛んではなく、ブログなどをやるのが主流で、その「ブログの可能性」を実験的に一人、考えていた。


ふとある日、「ブログに人を集めるにはどうしたら良いのか」という課題に、私は自分が体験した怪異について書く事にした。

単純に「怖い話」は人が集まる。

そんな簡単な気持ちで始めたのだった。


それを書き進めるうちに、私の怪異話にはどうしても欠かせない人間が居る事を思い出し、その友人に、


「お前の事を書いても良いか」


と相談した。


その友人は、


「書いて良いけど、条件がある」


そう言って来た。


条件1:男前に書け

条件2:他人に迷惑をかけるな

条件3:事実を曲げるな


そんな内容だった。


そんな事は私もわかっていた事で、友人に言われるまでもなく、そうしようと思っている事だった。


しかし、この条件には続きがある。


条件4:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■と、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■、それに、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■は絶対に書くな。


それが守れるのであれば書いて良い。


最後に、

条件5:年に一回は酒を飲ませろ


そんな感じだった。


私が解せなかった…。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■は何故書いてはいけないのか、それに、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■も。

そんなに書いてはいけない話では無い気がしたのだった。


私はとりあえず、友人の条件に承諾し、当時のブログに彼との話を書き始めた。


そんな経緯があり、今に至るのだが、そんな疑問を抱えつつも、彼との話を小説としてリマスターする事にした。


しかし、これはもはや小説ではない気がする。


私が知る中で、その「力」は最強だった。


私は彼を理解する事がこの先もあるのだろうか…


それでは「May Be Black - 友人Fの本懐 -」お楽しみください



星賀勇一郎

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