第7話 本当にかわいいと思っているのは

「昨日は自宅にゴキブリが出てきて、気持ち悪かったわ」

「はぁー? 何それぇー、ひっどーい!」

「ちょっと、声大きいって」

「だって、ひどいんだもーん。ねぇそれゴキブリさんに失礼じゃなーい?」

「え……」

「だってぇー、ゴキブリさん超かわいいじゃーん! あのちょこちょこーってしているとことかー、ツンツンしたい触覚とかー、カサカサーッてしてんのマジたまらーんっ! あと夜中に出てきてくれると、めっちゃ嬉しーのっ! 私、一人じゃないんだーって仲間がいて喜んじゃうっ。はぁ~……尊い生き物さんを嫌うなんてぇ、私には絶対できなぁ~いっ!」

「……あんたさー」

「んんぅっ? なぁーにぃー?」

「本当はゴキブリじゃなくて、ゴキブリかわいいと言っている自分をかわいいと思ってんじゃないの?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る