第56話 月曜日の柚子

柚子の香りに満ちたお風呂は冬の贅沢。

柚子の木があった頃は、たくさん柚子を浮かべたが、今はそんな贅沢はできない。

浮かんでいる柚子をつついた。

あらかじめフォークで何箇所か刺して、湯をはるときに浴槽にいれておくと、はいる頃にはいい感じのお風呂になる。

転がしたり、少し潰してみたりしていじっていると、たまに柚子に穴があいてしまう。

悪戯に指先に柚子をかぶせてみたりして。

ちゃめっけで許されるであろう程度に戯れる。

ほっこりとした柚子風呂も、寒い夜とともに、もうすぐ終わっていく。

あと、少し楽しみたい。

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