14 秘宝求め旅立つ情熱の狩人
『冒険野郎Aチーム』私でも名前を聞いた事がある超有名冒険者チームの名前である。リーダーのハンイバル、元帝国軍補給班リーダーのフェイスことエーカー・ベック、怪力自慢のコングことアールバウト、クレイジーモンキーことドラゴンライダーのメートルック、紅一点のミリー・アマンダ
――戦場で鳴らした俺達特攻部隊は、濡れ衣を着せられ不当に逮捕されたが、監獄を脱出し地下に潜った。しかし地下でくすぶってるような俺たちじゃあない。筋さえ通りゃ金次第でなんでもやってのける命知らず。不可能を可能にし、巨大な悪を粉砕する、俺達冒険野郎Aチーム!――それが彼らの有名な前口上である。
「ではこれの鑑定を頼むぜ!」
「う、承りました……これ全部ですか!?」
「勿論だ! 物は最上級品のはずだぜッ」
さすが大物A級冒険者だ、麻袋と革袋の中身から出てきたのは通常ではとても倒せないようなハイレベルのモンスター素材だった。グリフォンの爪、マンティコアの頭皮、ワイバーンの鱗、ハイオークの牙、アイアンゴーレムの核、アシッドスライムの体液を詰めた小瓶、バンパイアの手、銀狼の毛皮、どれもが冒険者を捕食する側のB級、A級モンスターばかりの素材をハンイバル(冒険)と(野郎)その(A)仲間(チーム)達は惜しげもなく全部広げた。それを見た辺りの冒険者達は凄いどよめき様だった。
「スゲェ! さすがハンイバルさんだ! 俺達にできない事を平気でやってのける! そこに痺れる! 憧れるぅ!!」
「自慢じゃぁないが、俺達じゃあのモンスターのどれにでも負ける自信があるぜ!」
「それ自信じゃなくね?」
「よっ! この国最強の男!」
「いやいや、最強は1
普段見ないような素材のオンパレードに冒険者達のボルテージはかなりのものだった。そして、冒険者ギルドの受付嬢はあたふたした様子でハンイバルに質問していた。
「ハンイバルさん、これは凄いです! 全部言い値で買い取らせていただきます。ところでこの素材ってどこで手に入れたんですか?」
「ああ、『忘れられた遺跡』だ。あそこのモンスターを全部退治した」
「「「「!!!!!!!」」」」
その場にいた全ての冒険者達の空気が一瞬凍り付き、誰もがみんなハンイバルを見ていた。
「あ……あの一度入ると生きては出られないというモンスターの巣窟?」
「俺入り口見ただけで逃げたぜ、入ってたらアンデッドの仲間になってたかもよ」
「レベル20モンスターがデフォのあの遺跡!?」
「それを全滅!? 人間技じゃねぇ!!」
「全滅ってことはボスモンスターを倒してモンスターコアを破壊したのかよ!?」
ハンイバルは受付嬢にこぶし大の砕けた鉱石のようなものを手渡していた。
「ハンイバルさん、これはひょっとして……」
「ああ、忘れられた遺跡のモンスターコアだ」
「!!!」
――モンスターコアーーとは闇の魔素の塊で無尽蔵にモンスターを生み出すダンジョンボスが持っている宝石のようなものである。これを破壊するとそのダンジョンの魔素は霧散し、モンスターは消滅するのだ。忘れられた遺跡のボスは間違いなくレベル30以上、これはハンイバル達がそのモンスターを倒した証明ともいえるのだ。
「残念ながら遺跡の奥まではたどり着けなかった、しかしこのモンスターコアを破壊した事で忘れられた遺跡からモンスターが生み出される事はもうないだろうな!」
「あ、あなたほどの冒険者が何故遺跡探索をあきらめたのですか? 強さは比べるものがないはずなのに」
「手段がなかったんだよ、大昔に作られた遺跡だ。橋が風化して壊れてて遺跡の奥に入れなかった」
「ドラゴンライダーのメートルックさんならたどり着けたのでは?」
「ああ、それはオレも考えたが、空からの侵入者を拒む古代の結界があってな、オレのドライビングテクニックでも浮遊力を無効化されたらお手上げだったよ、もう少しで墜落するとこだった……」
私が傍で聞いていた限り、遺跡探索は思った以上に難航している様子だった。
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