第64話 新しい聖獣
「ふふっ」
チビ竜のシェラ様なら全然恥ずかしくないのになぁ。
チビ竜シェラ様をヨシヨシしながらふと思う。
これがいつもの姿だったら……!!
ギャッ! はわわっ
無理無理無理!
想像しちゃった!! 消えろ煩悩!
『ふうむ? ルチィは一人で楽しそうだの』
一人真っ赤になって、あたまをふったりしていたらシェラ様が不思議そうに見ていた。
「えっ? いやぁ? 楽しいって言うか」
一人で勝手に妄想して、恥ずかしくなってただけとか……言えない。
『日も暮れてきたし……そろそろ帰るかの』
シェラ様がオレンジ色に染まった空を見て、私の膝の上からぴょんと飛び降りると、元の姿に戻った。
この猪はどうしよう……私にピッタリくっついて離れない。置いていくのも何だかかわいそう。
「あの....この猪も連れて行って良い? 私から離れないし。私も離れ難い」
『ふうむ。そんなに気にいるとは、ちぃと妬けるのう。では皆でかえろうぞ』
獣人国に戻ると、夜の宴の準備でごった返してた。
白ちゃん達がいる部屋に行くと、早くも白ちゃん黒ちゃんは正装に着替えていた。
「ただいまぁ! お花を見に行ってたよ」
ーーえっ! そうなの? 僕も寝ないで一緒に行けば良かったなぁ。
白ちゃんの視線が下がる。猪に気付いたかな?
ーーんんっ!? ルチィ? その抱っこしてる奴は?
「可愛いでしょ? 花畑で出会ったんだけど、それから離れてくれないから連れて来ちゃった」
ブフーッ。
猪が可愛いくなく。
ーーおいおい! お前? 何を可愛こぶってんだよ! 火の聖獣よ!
えっ? 今黒ちゃん火の聖獣って言った?
「しっ? 知り合い?」
ーー知り合いも何も、そいつも聖獣だよ!!
この猪、聖獣なの?!
ーーおいおい! 何百年ぶりだよ? 火の聖獣よ!
ーーおお! 光のと闇の! 久しぶりなのだ!
えっ? 猪が急に話だした、さっきまでブフーッって鼻息だったのに。
ーーずっと火山の下で眠っていたんだがの。千年ぶりに目が覚めたからウロウロとしてたんだの。
するとだの? すっごい良い魔力の匂いがして来て……匂いを辿ってたらこの女子を見つけたのだ!
ーーおいおい、まさか勝手に契約してないだろうな?
ーールチィは僕達のだからね!
ーーお前達だけで一人占めとかずるいのだ! オイラだって美味しい魔力を食べたいのだ!
ーーって事は! まさか?
ーーそうだ!後は名前を付けてもらうだけだなのだ!
ドヤァーッっとふんぞり返る子イノシシ。
ちょっ! なんの話ししてるの? 契約とか?
『やはりそうか、火の聖獣様だったのか。動物にしてはおかしな気を放っておったから。気になっておった』
シェラ様も気づいてたんだ。
ーーさあ! 早く名前をつけるのだ!
名前をくれって、私の知らない内に勝手に契約とかして?
「名前付けないとダメ?」
ーーなっ酷いのだ! オイラもルチィと契約したいのだ!
うー……可愛い子イノシシ姿で言われたら断れない。
なんにしようかな? うーん。子イノシシって事は……!
ウリ坊?
「決めた、あなたの名前はウリ坊!」
私がそういうと、パアアーッッっと眩い光が部屋を覆い尽くす。
ーーふむ! オイラは今日からウリ坊だ! 宜しくなのだ! ルチィの魔力と繋がるのは気持ちが良いのだ。
光が消えると、目の前に体躯が三メートルはある、大きな猪が立っいた。
えっ? 可愛い子イノシシはどこに?
ーーあれ? 契約したからか? 元の目立つ姿に戻ってしまったのだ。
何だか知らない内に、聖獣が増えてしまった。
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