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赤い長靴で歩き総務部のエリアの前で人事部の綺麗な女の人と別れ、私を出迎えてくれたオジサンを見る。
それから挨拶をした。
「入社をしました国光です、よろしくお願いします。」
「部長の小関です。」
不機嫌な顔で私を見下ろし名前を教えてくれ、ブスッとした顔のまま私の足元を見てきた。
「勤務中に長靴はやめてください。」
「はい。」
今までの勤め先では特に言われたことがなかったけど、大きな会社だと結構厳しいらしい。
素直に返事をすると向こうから大きな笑い声が聞こえてきた。
見てみると、元気さんが爆笑している。
「リクルートスーツに赤い長靴とかウケるじゃん!!!
こんなに晴天なのに何で長靴履いてるの!?」
「なんとなくです。」
「面白すぎでしょ!!!
さっきエレベーターで話し掛けてきた子だよね?
総務部の新しい子ってキミなんだ?」
「はい。」
私が返事をすると元気さんが持っていた本を閉じた。
よく見てみるとそれは週刊誌の漫画だった。
「ごめんね、やっぱり思い出せなくてさ。
何ちゃん?」
そう聞かれ、少し悩んでから答えた。
「国光美鼓(みこ)です。」
「国光ちゃんね、よろしく!
どこで会って喋ったんだろう、マジで思い出せない!!海外?」
「いえ、日本でです。」
「マジで!?全然思い出せない!!
ごめんね!!」
「いえ。」
凄くショックを受けながらも笑っておいた。
「元気君、キミもそろそろちゃんとした格好してきてね?」
小関部長が苦笑いをしながら元気さんに言うと、元気さんは自分の姿を見下ろし「長靴より酷かったか!!」と爆笑していた。
小関部長はムッとした表情をしていたけれど、他の社員は笑いを堪えたような顔で仕事をしていた。
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