第209話珈琲とともに

 ふぃ~、今日は仕事を早めに終わらせて、今は珈琲飲んでまったり。ただいま、17時。ゆったりひとときである。

 昨日、風邪をひいたが、夕方くらいから調子が戻って、本屋大賞受賞作「成瀬は天下を取りにいく」を第四話まで読んだ。

 この作品、強烈な個性の持ち主、成瀬を取り囲む、周りの人々が主人公だ。成瀬があまりに強烈なので、それに憧れたり、嫉妬したり、煙たがる周りの人々。

 凡人から見る天才を面白おかしく描いている。

 ああ、凡人から見ると、天才って滑稽なのだなぁと成瀬の生きざまにちょっと憐憫を感じるのだが、成瀬本人は飄々としている。そこが天才たるゆえんである。

 この先も成瀬がなにをしでかすか、読者としては興味津々である。

 さて、昨日YouTubeを見ていたら、芸人インパルス板倉俊之がすんごく気になったので、そのエッセイを買ってしまった。「屋上とライフル」。

 板倉さん、サバイバルゲームが好きらしく、自宅には数々のモデルガンが置いてある。この人、車中泊して旅行したり、郊外に夜景を撮りにいったりと趣味が多彩だ。

 なので、このエッセイ随分と楽しいだろうと思ってkindleでダウンロード。いわば、衝動買いだな。

 さて、第3話の「栗は果物、メロンは野菜」がすごく面白かった。

 中学二年生の時、レクリエーションで果物の名前を挙げていき、思いつかなくなった班は脱落するというゲームをやった。

 その時、二巡目までは順調にいったが、板倉さんそれからまったく果物の名前が出てこない。そこであえなく脱落となったのだが、その時に優等生の女の子が、「栗!」と大きな声で宣言した。先生は「うん、栗は果物だね」と合格と言い放った。そこで、クラス全体から「おおっ」という称賛の声があがる。

 ゲームは続行し、カキやザクロなどが挙げられていったが、板倉氏、ちょっと待てよと思った。「栗」といったのは確かにすごいが、そういう必殺技は、後半までとっておいて、一番の山場で言うべきではないのか。優等生、早く言い過ぎだ。

 板倉氏はその時、伝家の宝刀は隠して、隠して最後の切り札にとっておこうという教訓を得た。

 その後、「メロンやスイカは野菜」という切り札を手に入れたが、使わずにとっておいたのだが、全く使う機会に恵まれず、とっておいて損をしたというお話。

 いかにも生粋の芸人さんが考えそうなことだ。でも、ネタは旬がある。切り札を手に入れたら、機会が巡ってきたときには、素直に使おう。

 そのほうが、よっぽど効果的なのだな。

 このエッセイ、心地よい適度な自虐が入っていて、とてもほっこりする。内向きな板倉さんらしい自虐、ちょっとかわいいなぁと思ったのであった。

 

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