第87話友人との会話

 とある友人から電話があった。

 「おう、お疲れ!今大丈夫か?」

 「ああ、大丈夫だよ、お疲れ!」

 「お前、介護大変だったな。一息つけてよかったな」

 「おかげさまで、なんとか介護のめどがついたよ」

 「うちの両親も歳だしな。介護が必要になったらいろいろ教えてくれ」

 「いいよ、俺もベテランの域に達してきたからな」

 「お前、今天国だろう。独身だし、自由だもんな」

 「まあな、今だけかもしれないけどな」


 とまぁ、ありきたりな会話だったが、楽しかった。友人は既婚者、家族の中で父親としての役割で疲れることもあるだろう。

 こうして、たまに電話してきて、近況を話すだけで、お互いほっとする。

 人間、なにげない、無害な会話ほど、楽しいものはない。はたから見たら、本当にしょうもない会話だが、我々にとっては貴重なひととき。

 人の会話などそんなものだろう。

 独りになった時、友のありがたみをひしひしと感じるのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る