第11話遠山の金さん

 父、最近ローカル局でやっている「遠山の金さん」の再放送を楽しみにしている。いつも「ポンポコ、今日は金さんやるのか?」と聞いてくる。楽しみのあまりない父、待ち望むテレビ番組があるというのは、いいことだ。

 先日、私も一緒に見てみたのだが、まさに勧善懲悪。最初、貧しい庶民が悪代官に搾取され、肉親を殺される。それを遊び人に扮した金さんが成り行きを装い、捜査する。

 そして、悪党が勢揃いの中、チャンバラが始まり、金さん大活躍。ちなみにチャンバラが始まる前には必ず、桜吹雪の入れ墨を見せる。

 そして、一堂お縄について、お白砂でお奉行、遠山の金さんのお裁きが始まる。

 裁きが始まるのだが、イマイチ証拠が決定打に欠ける。しかし、肉親を殺された庶民が、「金さんなら悪事を全部知っています。金さんを呼んでください」と訴える。

 悪党も「そうだ、そうだ、金さんとやらを出してください」と野次を飛ばす。

 そこで金さん「じゃかわしいやい、悪党!」とカツを入れ、「ここに金さんはいるぞ、この桜吹雪を見忘れたとは言わせねぇぞ」とたんかをきる。

 そこで悪党、恐れ入って「ははー」と土下座し、金さん「これにて一件落着」と宣言する。そしてそこで終わる。

 う~ん、これ面白いのか?という疑問を父には言わずに、私は「ああ、よかったね」と軽い感想を言った。

 父は、裁きが終わると拍手喝采。まぁ、楽しそうでなにより。

 年をとると、こういう時代劇が大好きになるらしい。時代劇に夢中になり始めた、そこのあなた、歳をとった証拠かも。

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