第16話

「あなたには関係ないでしょ!!」


春は夏に怒る。


「なら、出ていけよ。」


「優君、どうしてこの女の味方をするの!!」


・・・もしこんなやりとりを雪ちゃんが話を理解出来る年にして居たらと考えるとゾッとする。


「・・・初めから、俺は春の味方じゃない」


「・・・っじゃあ、なんで家に入れたのよ」


無理矢理入って来たんだろう。


「雪ちゃんのためだ。」


「雪のためって!!私のことはどうでも良かったの?」


「どうでもいいわけじゃないよ。春が母親だと、雪ちゃんを・・・大切な姪を無責任な環境で傷つきそうで怖いよ」


「・・・っ」


流石に否定出来ないようだ。つまり一応自覚はあるみたいだ。


「・・・私は・・・私はどうすればいいの?」


「優の兄とうわ・・・」


俺は夏を止める。そして俺の視線から気付いたようだ。


そうだ、それは良いんだ。じゃないと雪ちゃんは生まれて来なかった。


そこは正直、内心では俺は否定したいし、きっと雪ちゃんも後に嫌な出産理由かとも思うだろう。だけどそれは心の奥底にしまい、そのことを否定し続けているのは雪ちゃん自身だ。俺達は雪ちゃんが生まれたことに感謝するべきだし、実際・・・可愛い子が生まれて良かったと思ってもいる。

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