第2話 交流
お父さんや陽子さん、凌空くんは父さんが再婚すると私に言って来てから5日経った。今日は父親の再婚相手になる人と会う日だ。私はお父さんが買ってくれた余所行き用の服を着てお父さんと一緒に待ち合わせ場所に向かった。だけれど、1つ気になったことがある。それは、待ち合わせ場所がどこかのお店ではなく国立公園であるということだ。お父さんになぜ国立公園が待ち合わせ場所なのかは直接は聞いてはいないが、お父さんが3日ほど前に家で電話をしているのを聞いていた感じ、向こうから指定された場所らしい。
待ち合わせ時刻の5分ぐらい前に到着したがまだ来ておらず、私はどんな人かなぁと思いながら周囲を見て探しているとお父さんに声をかけられた。
「優花、ここで待ち合わせしているのだけれど、少々トラブったようで来るのが少し遅れるらしい。しばらく来ないからそこら辺を散歩してくるならしてきてもいいよ。来たら連絡するから。」
「いや、いいよ。私もここで待つ。」
私はそういいながら近くのベンチに座った。実は待ち合わせ場所は国立公園のほぼ真ん中ですでに疲れており、周囲をふらふらとできるほど体力に余裕はないというのもあるのだけれど。だって、私は中学の頃は家庭科部に所属していたので普段から運動するがなかったので体力があまりない。
待つことおよそ20分、こちらに向かって女の人と小さな子供が2人、私と同じくらいの年の男の子が1人こちらに向かって歩いてきた。
「こんにちは、陽子さん。」
お父さんは女の人に向かって挨拶をした。
「次郎さん、遅れてごめんなさい。」
「大丈夫ですよ。優花、こちらが田中陽子さん。お父さんの再婚相手だよ。」
お父さんはそう言いながら私に女性を紹介した。
「陽子さん、この子が僕の一人娘の岩本優花です。」
そして、私を指さしながら私を紹介した。
「こんにちは、優花さん。私があなたのお父さんと再婚しようとしている田中陽子です。そして、あそこに突っ立っている背が高い男の子が
陽子さんは私の顔を見ながら自分の息子たちを紹介した。
「陽子さん、とりあえず場所を移動しようか。」
お父さんは私が陽子さんと話し終えたのを確認すると声をかけてきた。
「そうですね。行きましょうか。」
陽子さんはそう言うとお父さんと一緒に移動し始めた。私も置いて行かれないようにお父さんの横をついて移動した。陽子さんの息子さんたちは私たちの10メートルぐらい後ろをついてきた。
「あの、陽子さん。彼らはいいんですか?」
私は彼ら3人のことが気になって陽子さんに聞いてみた。
「ああ、うん。凌空がついているからね。大丈夫よ。お店に入ったりする時にはちゃんと近くに寄ってくるわ。多分、次郎さんや優花さんのことを警戒しているのだと思うわ。凌空はそこまでなんだけれど、勇太と俊太はとても人見知りするからね。しばらくして落ち着いたら自然に寄ってくるから気にしないでいいよ。」
陽子さんは何てことないように言った。
それから、1時間ぐらいの間話しながら国立公園内を散策していたが、その間も彼ら3人は一定の距離を保ちながら私たちの後ろを歩いてきていた。
私的には家族になる彼ら3人とも交流をしたかったのでお父さんと陽子さんの傍から離れて彼らのもとに向かおうと何度かしてみたが、すべてお父さんに防がれてしまった。
「あの、陽子さん、少し聞きたいんですけど。」
「うん?何?」
私は会話が途切れたタイミングでどうしても聞きたかったことを陽子さんに聞いてみることにした。
「凌空くんと勇太くん、俊太くんは何歳なんですか?」
「凌空は15歳で春から高校生だよ。勇太と俊太は6歳だよ。」
「6歳ということは小学校1年生ですか?」
「勇太はね。俊太はこの4月から小1だよ。」
「えっ!」
同い年なので、てっきり同じ学年だと思っていたのに違う学年とはどう言うことなのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます